競争_6~7回【配布】_unlocked.pdf
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東洋大学
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コスト・リーダーシップ戦略と差別化戦略 コスト・リーダーシップ戦略 競争戦略論 単位あたりコストを下げて、利益を出す 第6回・第7回 差別化戦略...
コスト・リーダーシップ戦略と差別化戦略 コスト・リーダーシップ戦略 競争戦略論 単位あたりコストを下げて、利益を出す 第6回・第7回 差別化戦略 単位あたり利益=価格ーコスト 単位あたり価格を上げて、利益を出す 東洋⼤学 経営学部 ⼭⼝ 裕之 差別化戦略 1 2 製品差別化戦略 製品差別化の注意点 製品差別化とは 製品差別化とは 他の企業の製品よりも⾃社の製品の「価値が⾼い」と顧客 に思わせること × ライバルと異なることを⽬的に独創性を追求すること 『⽀払意思額 (WTP)』『留保価格』『知覚便益』『顧客価 値』を⾼める ○ ライバルが満たせていない/満たせることができない、顧 客のニーズを満たすこと。 ライバル企業の製品よりも、⾼い価格で販売可能となる 3 4 ある財に対して顧客が⾒いだす価値とは︖ 【補⾜】⽀払意思額 (WTP: Willingness To Pay) ある製品・サービスの買⼿は、その製品・サービスの何 留保価格 (reservation price) ともいう に価値を⾒いだすのだろうか。 留保価格 - 財の⽣産・販売にかかる費⽤ = 付加価値 (余剰︓surplus) 財の購⼊によって顧客が得られる価値 余剰のうち顧客の取り分:消費者余剰 = 便益 (benefit)・効⽤ (utility) 余剰のうち企業の取り分:⽣産者余剰 (企業の利益) この余剰の分配は、財の取引価格によって決まる。 スターバックスでコーヒー買う場合、何に価値を感じて お⾦を払っているのだろうか。 消費者 余剰 ドリップコーヒー (トールサイズ) にいくらまで⾦を払っ 財の取引価格 ていいと感じられるか︖ 生産者 WTP 余剰 財の生産・ 販売費用 5 6 製品差別化のポイント 顧客のニーズは多様である 「価値がある」と顧客に認識させること。 ある種の製品を購⼊することで、得られる満⾜は顧客の 様々な要因を操作したところで、顧客の認識が変化しなければ意 間で異なる 味がない。 腕時計の例 正確な時間を知る道具 ファッションの⼀部・宝飾具 マーケティング戦略 顧客ニーズの把握と分類︓ 1.マーケット・セグメンテーション いくら「時を正確に刻む」ようにしても、その腕時計は、 対象とする(狙う)セグメントの決定︓ 宝飾具として腕時計を購⼊する顧客にとって「価値あ 2.ターゲティング る」ものとして認識されない。 ターゲットのニーズと製品の特性の適合︓ 3.マーケティング・ミックス 7 8 知覚便益を⾼めるうえでの注意点 1.マーケット・セグメンテーション 知覚便益を⾼めるためには、 効果的な製品差別化を⾏うためには、 顧客のニーズを知り、分類したうえで、 顧客が財に対して何を求めているのかを理解し、 対象とするどの分類(客層)決める必要がある 顧客ニーズの理解 それに応える財を提供する必要がある。 特定のニーズを共有する⼀定の規模の集団(セグメント)に、 市場を細分化する。 注意点 = マーケット・セグメンテーション 顧客のニーズ(選好)は多様 万⼈受けする製品は極めて希 4つのチェック・ポイント (1) セグメント内が同質 財の特徴 (性能・機能) の⾼低や良悪の基準は、社会的に (2) セグメント間が異質 構成されたものであり、絶対的なものではない。 (3) 操作性(必ず数字を出して考えてみること) 画⾯の⼤きさやきれいさと、かわいさの根本は同じ (4) セグメントの規模 9 10 市場を細分化して セグメンテーションの軸 ターゲット市場を⾒つけ出して選ぶ︕︕ 地理的な軸 ⼼理的な軸 地域(関東⇔関⻄) ライフスタイル 多様な軸を使って,市場を細分化し,狙うターゲットを ⼈⼝(⼤都市⇔⽥舎) 伝統的 絞り込んでいく 気候(⽇本海⇔太平洋) 快楽志向 性格 ⼈⼝統計的な軸 市場 社交的 年齢 野⼼的 性別 ⾏動⾯の軸 どの地域にいる(where) 家族構成 (⾏動として表われる特徴) 誰の(for whom) 所得 使⽤経験 既婚・未婚 どんなニーズ(to meet what) 使⽤頻度 職業 ロイヤリティ を満たすのか︖ 学歴 これら顧客の属性 (観察可能) データ (POS等) から、製品に対する顧客の ニーズ (観察不可能) を推察する。 11 12 2.ターゲティング 3つの基本アプローチ 対象とする(狙う)セグメントの決定 単⼀ターゲット・ 複数ターゲット・ 結合ターゲット・ アプローチ アプローチ アプローチ 3つの基本アプローチ 単⼀ターゲット・アプローチ 複数ターゲット・アプローチ 結合・ターゲットアプローチ いくつかのセグメントに同時に受け⼊れられるようなマーケ ティング・ミックスの構築 フル・カバレッジ 13 14 ターゲティングのアプローチに関して 3.マーケティング・ミックス より広くカバーするためには、より豊富な資本(資産・ 特定のセグメントのニーズに合致するように、製品に関 経営資源)が必要。 する様々な要因を操作することで、 顧客にとって「価値ある」製品を作る (特に資本の⼩さい企業が)うまくやるためには、以下 のようなセグメントにターゲットを絞る必要がある。 製品に関する様々な要因 ⼀定の需要が存在するけれど、 物理的特性 ⇔ ⼼理的特性 ライバルが存在しない それ⾃体 ⇔ 周辺 = 市場の隙間︓ニッチ・セグメント これを操作する⼿段 = マーケティング・ミックス 15 16 マーケティング・ミックス︓4Pʼs 顧客(セグメント)間の違い 4Pʼs 4つのP ①Product︓ 価値を⾒いだすポイントの違い ① Product 商品・製品 ② Price 価格 ②Price︓ 財布の中⾝・値頃感の違い ③ Promotion 顧客との情報のやりとり ④ Place 流通チャネル ③Place: ⾏動範囲の違い ④Promotion: 情報探索・獲得⼿段の違い ターゲット・セグメント のニーズ 17 18 ① Product ①Product 顧客は製品の何に価値を⾒出すのか︖ 製品の設計パラメータ 腕時計の購⼊例(客はどこに注⽬するか) 物理的特性 ⼼理的特性 製品⾃体 製品⾃体 製品=サービスの束 機能 イメージ 品質 ブランド 顧客は、様々なサービスの複合体として、ある製品に価値 を⾒出す。 デザイン 特定の仕事を達成するためにその商品を「雇って」いる 製品以外 製品以外 (Levit, 1960) 納期 企業イメージ 企業ブランド 規格 (e.g. インテル⇔AMD) 顧客はどんな商品を欲しがっているのか。 ネットワーク外部性 スイッチングコスト アフターサービス(保守・メンテナンス) 顧客はどんな仕事/問題を抱えているのか。 (e.g. ⼟⽊・建設機器, 複写機) 19 20 ② Price ②Price 設計パラメータ 値段の「⾼さ」が顧客にとって「価値」になる場合もあ 定価(希望⼩売価格) る。 割引率 ⽀払い期限やローンの条件 価格≒性能・品質という「常識」(ハロー効果) ⾼級オーディオ 価格のパラメータを決める際の基本 顕⽰効果(ヴェブレン効果) ① その製品のコスト ブランド物のバッグ・腕時計 ② 競争相⼿が設定している価格 ⾃動⾞ ③ 顧客の財布の具合 21 22 ③ Promotion ③ Promotion 消費者が購買に⾄るプロセス 基本的な考え⽅ Promotion(広告) =製品に関する情報を顧客に伝達すること 製品やサービスに関する情報を、 AIDMAモデル︓購買の意思決定に関するモデル ターゲットとする顧客層に対して、 存在を知らない いかに効果的・効率的に伝達するか。 Attention:注意 偏見 これらの要因 Interest:関心 を取り除くため その基本的な⼿段(選択肢) 価値(効用)を感じない にPromotionが =4つのパラメーター Desire:欲望 必要となる 広告 欲しいことを覚えていない 販売員活動 Memory:記憶 広報活動・パブリシティ 売っていない 販売促進 Action:行動(=購買) 23 24 ③ Promotion ③ Promotion 設計パラメータ その1 設計パラメータ その2 1.広告 3.広報活動 パブリシティ︓ 特徴︓広範囲だが,⼀⽅通⾏ 特徴︓不確実だが説得⼒⼤・コスト低い. 種類 クチコミも類似の効果 (a) テレビ・ラジオ︓時間帯 極めて費⽤が⾼い (b) 雑誌・⼀般紙・専⾨誌 4.販売促進︓ (c) インターネット広告 (a)キャンペーン (d) その他︓カンバンやつり広告,新幹線⾞内ディスプレイなど (b)イベント (c)試供品 2.販売員活動 (d)ティッシュやタオル 特徴 狭い範囲だがインタラクティブ ⼈件費は⾼い(出来⾼給の場合もある) 25 26 ③ Promotion ④Place 基本戦略︓プッシュとプル チャネルの設計パラメータ プッシュ戦略 プル戦略 メーカー 最終顧客 製造業者 営業マン 指名注文 ・売り方・使い方 卸売業者 に関する 広告 説明・説得 ・販売店の支援 小売業者 顧客 ②出口までの流れの設計 ①出口=小売業などの選択 27 28 ⼩売業(製品の最終出⼝)の種類 チャネル政策︓2つの基本型 有店舗⼩売業 無店舗⼩売業 ①百貨店 ①⾃動販売機 開放型チャネル政策 閉鎖型チャネル政策 メーカー ②専⾨店 ②訪問販売 ③スーパーマーケット (⼾別訪問,ホームパーティ展⽰販売) (総合スーパー,⾷品スーパー,⾐料品スーパー) ③通信販売 卸 ④ディスカウント・ストア (カタログ,TVショッピング,インターネット) ⑤コンビニエンス・ストア ⑥⼀般⼩売店 小売店 ⑦キヨスク等駅の売店 出所) 相原(1989),p.107より一部修正して掲載. 製品の最終出⼝が製品の⼼理的特性 (イメージ) に与え 顧客 る影響は⼤きい。 29 30 製品・企業イメージのコントロール可能性と販売量 PlaceとPriceに関するトピック とのトレードオフ 流通・⼩売側がパワーを持つようになると、メーカー側 がPriceやPromotionをコントロールできなくなる。 とりわけ家電で顕著 定価・割引率をメーカーが設定したとしても、流通・⼩売 が無視する。 → 定価を設定しない=オープン価格 開放型チャネルを採ると、販売形態(価格・売り⽅な → 取引停⽌ ど)を監視・コントロールできなくなる。 松下電器とダイエーの30年戦争(1964年〜) 買回り品や、イメージ/ブランドが重要な製品では危険。 ダイキンとヤマダ電機 ⾃動⾞、家電、ファッションブランド、化粧品 etc… パナソニックの「指定価格制度」(2021年〜) 31 32 整合性が重要 B-Three Target segment: マーケティング・ミックス内 Product Place Promotion Product Promotion Price マーケティング・ミックスとセグメントの間 Price Place 33 34 マーケティング戦略の考え⽅ より⾼度な思考法 売りたい製品のイメージを念頭に置いて, 1.客をイメージする セグメンテーションを行なう (製品のイメージを練り直す) (セグメンテーションを修正する) 2.時間展開 多様なセグメントの中から 3.セグメント間の相互作⽤ ターゲット・セグメントを選び出す (ターゲットを変更する) 4.ニーズのコントロール 選ばれたセグメントにフィットするような マーケティング・ミックスを構築する (マーケティング・ミックスを再構築する) 35 36 今回のまとめ 製品差別化とは ⾃社の製品の「価値が⾼い」と顧客に感じさせることで、他社よ りも⾼い価格での販売を可能にすること。 その⽅法 = マーケティング戦略 ニーズの把握・分類・特定︓ セグメンテーション・ターゲティング 整合性 ターゲットニーズへのアプローチ マーケティングミックス︓4Pʼs Product Place Promotion 整合性 Price 37