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競争戦略論1-14.pdf

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講義形式について  パワーポイントを⽤いたレクチャー形式  資料配布・⼩テスト/課題︓ toyonet-ace  講義前...

講義形式について  パワーポイントを⽤いたレクチャー形式  資料配布・⼩テスト/課題︓ toyonet-ace  講義前 講義資料のプリントアウト (公開期間は講義前後1週間を予定しています)。 競争戦略論 第1回   ファイルにはパスワードがかかっています︓ businessSt3 競争戦略論の概要  講義範囲に対応するテキストの箇所を予め読んでおくと理解が捗ります。  講義中  プリントアウトした講義資料にメモをとりながら授業を受けてください。  講義中に、発⾔を求めたり、toyonet-ace上での操作を求める場合があります。  講義中の私語など、他の受講者の迷惑になる⾏為は禁⽌します。当該⾏為を⾏ う者に対しては退室を命じることがあります。  講義後 東洋⼤学 経営学部  メモした講義資料を振り返り理解を深めてください。 ⼭⼝ 裕之  講義内容に関連するテキストの箇所を読み理解を深めてください。  ⾃⾝の理解を⽂章化することをお奨めします。  理解を確認する⼩テストをtoyonet-ace上で実施する場合があります。 1 2 テキスト・参考書 成績評価の⽅法・基準  基本点︓α  テキスト  期末試験︓80点  網倉久永・新宅純⼆郎(2011)「経営戦略⼊⾨」⽇本経済新聞  ⼩テスト︓20点 社. (3672円) 90点以上 S 89~80点 A  加算点︓β  参考書 79~70点 B  講義中の発⾔  ⻘島⽮⼀・加藤俊彦(2012)「競争戦略論(第2版)」東洋経 69~60点 C 済.(2808円) 59~40点 D  沼上幹(2008)「わかりやすいマーケティング戦略(新版)」  評価点 40点未満 E 有斐閣.(2052円)  =(α+β)  坂下昭宣(2014)「経営学への招待 (新装版)」⽩桃書房  榊原清則(2013)「経営学⼊⾨(上・下)(第2版)」⽇本経  注意点 済新聞社  厳格に成績評価を⾏う = 公平性の確保 3 4 講義の⽬的・到達⽬標 その他  競争戦略に関するツールや概念をマスターして、  講義に関する質問や疑問があれば、講義前後に聞いてく  それらを⽤いて「考える」ことができるようになる。 ださい。  具体的には、  オフィスアワー︓ ⾦曜⽇ 12:10〜13:00  競争戦略を考えるうえで最低限必要なツール・概念を理解 している(説明できる)。  その他の⽇時やオンラインを希望する場合、下記のアドレ  それらを⽤いて、企業の事業活動を分析することができる。 スに連絡をください。  それらを⽤いて、競争戦略を考えることができる。  メールアドレス︓ [email protected] 5 6 1.競争戦略とは  儲けるための⼿段・⽅策 競争戦略の考え⽅  良いモノ・サービスを提供すれば、儲かるという時代で はない。  競争 (市場競争) が激しいため。 1.競争戦略とは  その競争においてライバルよりも優位に⽴つ 2.競争戦略の考え⽅  競争優位性 (competitive advantage) の獲得・保持 3.競争戦略と経営学  競争優位性を確⽴するための⼿段・⽅策 = 競争戦略/事業戦略 (competitive strategy/business strategy) 7 8 2.競争戦略の考え⽅ 経営戦略論  あたりまえのようにみえるが、実は難しい。  経営戦略  競争の優劣 (結果) を左右する「何か (原因) 」は、簡単に  特定の経営上の⽬的を達成するための道筋 はみつからない。  時と場合に応じて異なる。  複数存在して、絡み合っている。  経営戦略論  原因を特定しない限り、有効な戦略は⾒つからない。  特定の⽬的を達成するための道筋を考えるうえで役⽴つ概 念・枠組・理論に関する知識のまとまり  競争の優劣を左右する「何か (原因)」を探るための道具  特定の現象を把握する知識  概念・枠組・理論と呼ばれる知識  特定の現象に影響を与える (要因) に関する知識 Nó có vẻ hiển nhiên, nhưng nó thực sự khó khăn. ``Cái gì đó (nguyên nhân)'' ảnh hưởng đến sự vượt trội hay thấp kém (kết quả) của cạnh tranh không phải dễ dàng tìm thấy.  =競争戦略『論』 Thay đổi tùy theo thời điểm và hoàn cảnh. Nhiều tồn tại và gắn bó với nhau. Không thể tìm ra chiến lược hiệu quả trừ khi xác định được nguyên nhân. Một công cụ để khám phá “điều gì đó (nguyên nhân)” quyết định sự ưu việt hay thấp kém của cạnh tranh Kiến thức được gọi là khái 9 niệm, 10 khuôn khổ và lý thuyết = Chiến lược cạnh tranh “ron” 経営戦略の階層性 競争戦略論 (competitive strategy)  経営戦略  競争戦略︓事業活動で競争優位を確⽴する⽅法・道筋 =企業活動上の⽬標を達成するための道筋  競争優位性︓競合企業よりも⾼い収益性  企業には様々な⽬標がある。  競争戦略論  社会的貢献・従業員の幸福  競争戦略を教えてくれるのではない 全社戦略・企業戦略  事業の円滑な運営・企業の成⻑ corporate strategy  「絶対儲かる⽅法」はそもそも存在しない  事業活動での利益獲得 事業戦略・競争戦略  「優れた」競争戦略の⽴案に役⽴つ知識 business/competitive strategy  論理的にモレ・ヌケのない競争戦略  ある製品・サービスの売上拡⼤  多くの者にとって思いつかない競争戦略 機能別戦略  ある製品・サービスの費⽤削減 マーケティング戦略 生産戦略 etc  etc… 11 12 競争戦略論3 2024年度の講義スケジュールと参考図書の対応箇所 (目安) 講義内容 網倉・新宅 加藤・青島 沼上 「経営戦略入門」 「競争戦略論」 「わかりやすい マーケティング戦略」 第1回 4/11 競争戦略論の概要 第2回 4/18 事業活動と競争戦略の目的 第3回 4/25 一般戦略(1):一般戦略の概要 補論 第1章・第2章 第4回 5/9 一般戦略(2):コストリーダーシップ戦略 第5章 第1章・第2章 第5回 5/16 一般戦略(3):コストリーダーシップ戦略 第5章 第1章・第2章 第6回 5/23 一般戦略(4):差別化戦略 第4章 第1章・第2章 第7回 5/30 一般戦略(5):差別化戦略 第4章 第1章・第2章 第8回 6/6 競争戦略の考え方 第2章 第1章 第9回 6/13 外部環境と戦略(1) 第3章 第2章 第5章 第10回 6/20 外部環境と戦略(2) 第3章 第2章 第5章 第11回 6/27 外部環境と戦略(3) 第3章 第2章 第5章 第12回 7/4 外部環境と戦略(4) 第3章 第2章 第5章 第13回 7/11 経営資源と戦略(1) 第2章 第3章 第14回 7/18 経営資源と戦略(2) 第2章 第3章 第15回 7/25 まとめと期末試験 今回の⽬的 事業戦略・競争戦略 =「事業活動で利益を挙げるための道筋」 競争戦略論  その考え⽅について解説していく。 第2回 その前に 事業活動と戦略の⽬的  事業活動の理解  事業活動=技術的変換による価値の創造  事業活動を整理・把握する枠組︓「価値連鎖」「価値体系」  利益の理解 東洋⼤学 経営学部  利益の種類(5種類の利益) ⼭⼝ 裕之  把握⽅法(財務諸表の読み⽅) 1 2 事業活動の意義 事業活動とは︖ =価値の創造 インプット スループット アウトプット ヒト・モノ・情報  アウトプットを販売して獲得するお⾦ 企業 カネ  企業の提供するものに買い⼿が進んで払うお⾦ 材料 = 「収⼊」「売上」 原材料市場 製品・サービス 材料 製品 = 価値 (供給業者:モノ) 市場 サービス (顧客) 設備 労働市場  インプットを購⼊するのに⽀払うお⾦ (働く人:ヒト)  供給業者が提供するものに企業が進んで払うお⾦  技術的変換 = 「⽀出」「費⽤」  外部から調達したインプット(ヒト・モノ・情報)からア ウトプット(財・サービス)を⽣み出す。  インプットを購⼊し、アウトプットに変換し、アウト プットを販売する。 3 4 付加価値・利益 価値創造における基本的な活動  5種類の主活動  4種類の⽀援活動  価値 (=収⼊・売上) から、⽀出 (=費⽤) を差し引いた (オペレーション) (サポート) ⾦額  購買物流  調達 = 企業の活動を通じて⽣み出された (付加された) 価値  原材料の計量・保管 =付加価値  製造  技術開発  組み⽴て・包装・機械の操作 ≒ 利益・・・企業活動の対価 やメンテナンス  ⼈事・労務管理  出荷・物流  受注処理・荷造り・保管  企業が価値ある・意味ある活動を⾏っている場合、利益  会社の全般管理  販売・マーケティング が⽣まれる。そうでない場合、利益は⽣まれない(損失  販売活動・広告 が⽣じる)  サービス  アフターサービスetc 5 6 価値を創造する 価値体系 9つの基本活動  企業の価値連鎖(value chain)  商品やサービスを私達が購⼊する場合、それらの価値に 対してお⾦を⽀払っている。 全般管理(インフラストラクチャ) 人事・労務管理  そうした価値は、複数の企業の活動によって創造されて 技術開発 いる。 調達活動  財(価値)が⽣み出されるまでの流れ 主活動 = 価値体系(value system) 購買 出荷 販売 サービス 製造 物流 物流 マーケティング 7 8 事業活動で⽣まれる利益とは 企業の利益を調べる⽅法  アウトプットの販売によって得たカネ  株式上場企業の場合 =「売上⾼」  企業のホームページ 儲け 営業利益  →IR情報 → 決算短信など 電話代  インプットの購買によって⽀払ったカネ  eol 伝票代 販売費  原材料など︓「売上原価」 広告費 及び  ⼈件費など︓「販売費及び⼀般管理費」 パンの パンの 人件費 一般管理費  財務諸表の損益計算書(配付資料) 売上高 売上  差額 電気・ガス・ =事業活動で⽣まれる利益 水道代 売上原価 =「営業利益」 原材料費 =「売上⾼」 -「売上原価」 -「販売費及び⼀般管理費」 9 10 貸借対照表(B/S:Balance Sheet) 損益計算書(P/L︓Profit and Loss Statement) 〜資産の部(左側)〜  売上と費⽤と利益をまとめた表  資産(企業の財産)の内訳 (資産の部) (負債の部) 売上⾼(収益) -売上原価  流動資産 流動資産 流動負債  得た⾦(収益)-払った⾦(費⽤) 売上総利益 現⾦・1年以内に現⾦化できるも 固定資産 固定負債 = 利益(/損失)・・・⿊字/⾚字 の(貯⾦・有価証券など)・業 -販売費及び⼀般管理費 負債合計 営業利益 務活動上で動いている資産(原  売上⾼-売上原価=売上総利益 (粗利益) +営業外収益 材料・中間財など) (純資産の部)  売上⾼︓事業活動で得た⾦ -営業外費⽤ 資本金  e.g. ケーキを売って得た⾦ 経常利益  固定資産 純資産合計  売上原価︓事業活動に直接かかった⾦ +特別利益 -特別費⽤ 1年以内に現⾦化できないもの 総資産 総資本  e.g. ⼩⻨粉・⽜乳などの購⼊費 税⾦等調整前当期純利益 -法⼈税・住⺠税・事業税  売上総利益-販管費=営業利益 当期純利益  販売費及び⼀般管理費︓  e.g. ⼈件費・事務⽤品・配送費など 11 12 貸借対照表(B/S:Balance Sheet) 収益性(利益を挙げる⼒)を判断する指標 〜負債・純資産の部(右側)〜  利益率︓安く作れる⼒、⾼く売れる⼒  資産(企業の財産)に対する (資産の部) (負債の部)  売上⾼営業利益率(%)=営業利益/売上⾼×100 お⾦の出所の内訳 流動資産 流動負債  総合⼒  負債 (借りてきた) =他⼈資本 固定資産 固定負債  総資産営業利益率(%)(ROA: Retrun On Assets)  流動負債 負債合計  =営業利益/総資産  1年以内に返済しなければなら (純資産の部)  =営業利益/売上⾼ × 売上⾼/総資産 ×100 ない借⾦ 資本金  固定負債 売上高営業利益 総資産回転率 純資産合計  それ以外の借⾦ 総資産 総資本 ワーク  純資産(持っていたor預かっ  すき家と吉野家の平成23年度の収益性 (ROA・ROS・総資産回 ている)=⾃⼰資本 転率) の23年度⽐較  ゼンショー (2011年4⽉1⽇〜2012年3⽉31⽇)  吉野家 (平成23年3⽉1⽇〜平成24年2⽉29⽇) 13 14 すき家と吉野家の収益性の⽐較 まとめ  平成23年度 (2011年度)の⽐較  事業活動の理解  営業利益率・総資産回転率・総資産営業利益率は、⼩数  事業活動=技術的変換による価値の創造 点第3位を四捨五⼊  事業活動を整理・把握する枠組  「価値連鎖」と「価値体系」 (株)ゼンショー (株)吉野家 ホールディングス ホールディングス 売上高(百万円)  利益の理解 営業利益(百万円)  利益の種類(5種類の利益) 総資産(百万円)  把握⽅法(財務諸表の読み⽅)  損益計算書 営業利益率  指標を⽤いた理解・⽐較 総資産回転率  ROS・ROA etc. 総資産営業利益率 15 16 製品差別化とコストリーダーシップ  事業戦略 =「事業活動で利益を挙げるための道筋」 競争戦略論 第3回  その1つの考え⽅ ⼀般戦略の概要 = ⼀般戦略(generic strategy)  利益を増やす「⼀般的な」⽅法 東洋⼤学 経営学部 ⼭⼝ 裕之 コストリーダーシップ戦略と差別化戦略 ポーターの3つの⼀般戦略  1.コストリーダーシップ戦略 (cost leadership) コスト・リーダーシップ戦略  2.差別化戦略 (Differentiation) 単位あたりコストを下げて、利益を出す  3.集中戦略 (Focus) 競争優位の源泉 単位あたり利益=価格ーコスト 顧客に認識された 低コストポジション 独自性 1.コストリーダーシップ 2.差別化 市場全体 戦略の 戦略 戦略 単位あたり価格を上げて、利益を出す ターゲット 特定の市場 3.集中戦略 セグメント (コスト重視) (差別化重視) 差別化戦略(集中戦略) 良いものであっても U型曲線と⼀般戦略 儲るとは限らない 実現した消費者余剰 投資収益率 利益を挙げる= 価格 差別化戦略 コストリーダーシップ戦略 高 「競争」という D 価格を維持する 価格低下圧⼒が ためには、 発⽣するため 企業 「競争」に勝つ/回 A 企業 企業 避する必要がある (ROI) の A B 利益 の の 単位あたり 利益 利益 費用 低 「中途半端」な状況 他社とは異なる (他 stuck in the middle 社ができない) 事業 (価格-費用)×数量 =利益 活動の展開 低 高 同じ供給量を持つ  ⾼便益(差別化) 市場シェア B社の参入  低費⽤ (C.L.) 企業Aの供給量 量 6 事業戦略︓事業活動と利益 事業活動で利益を獲得するためには ① 創造された価値 企業が創造  事業活動 した価値 顧客(  技術的変換による価値創造 ③ 利利 価格 益益 知覚)便益 売上 Throughput 費用 ② 費用 Input Output 事業活動  利益 = 売上 ー 費⽤  価値の創造 消費者余剰  ①知覚便益の向上 生産者余剰  ②コストの低下  価値の占有  ③価格の向上/維持 (←競争の回避) 7 8 Stuck in the Middleが⽣まれる理由 次回予告  差別化と低コスト化を同時追求すると、どうして収益性  コストリーダーシップ戦略 が低下してしまうのか︖  規模の経済  学習の経済  製品差別化  次回以降続く⼀般戦略に関する講義内容を理解すると、  マーケティング戦略 その原因 (理由) が⾒えてくる。  4P  セグメンテーション  そして、その原因の原因を遡って考えると、差別化と低 コスト化を両⽴できる条件や⽅法が⾒えてくるかも・・・。 ⼀般戦略(Generic Strategy)  「同⼀産業において、⻑期的に競合他社に優位に⽴つた めの⼀般的な戦略」(Porter, 1980) 競争戦略論 第4回・第5回  製品差別化戦略 コストリーダーシップ戦略  コストリーダーシップ戦略 東洋⼤学 経営学部 ⼭⼝ 裕之 事業戦略を巡る議論の変遷 M. Porterの主張  70年代以前  ⾼い市場シェアから実現される戦略 (コストリーダー  他社より⾼いシェア →他社より低いコスト シップ戦略) は、有効な戦略の1つだが、唯⼀有効な戦  という関係が着⽬される 略ではない  →コストリーダーシップ戦略が唯⼀有効な戦略  70年代以降  市場シェアを絶対視しない⽴場  市場シェアを追求しない戦略の有効性が議論され始める。 → ⾼市場シェアに基づかない戦略  PIMS研究 = 製品差別化戦略  Porterの⼀般戦略(製品差別化戦略) コストリーダーシップ戦略の追求 コストリーダーシップ戦略  コストを下げることで、利益の増⼤を狙う 累積生産量が大きい 学習の経済性 (経験曲線効果) 費用低下 利益増大  コストを下げるためには︖ 生産量が大きい 規模の経済性  コストに影響を与える要因は何か︖ 投資  積極的に規模を拡⼤することで、上のサイクルを回し、 圧倒的なコスト競争⼒を獲得・維持することが重要 規模と学習の経済性 1.規模の経済性  1. 規模の経済性  ⽣産・販売数(=規模)が⼤きいほど、製品やサービス  ⽣産(販売)量が⼤きいほど、より安く製品・サービスを の単位あたり費⽤が⼩さくなる 製造・販売することができる  規模の経済性の源泉  2.学習の経済性  ①分業の効果 (特化/専⾨化の効果)  累積⽣産量が⼤きいほど、より安く製品・サービスを製 造・販売することができる  ②固定費の分散 (⽣産要素の分割不可能性)  ⼤規模化することが、望ましい戦略である。  ③⼯場や設備の費⽤と⽣産能⼒の関係 (技術的経済性) ① 分業の効果 ② 固定費の分散  固定費とは、  分業︓仕事の分割によって、下記の効果を得ることが可  作る(売る)個数に関わらず⼀定(固定)の費⽤ パン屋の例だと、地代家賃・機器や器具・チラシ代・⼈件費など 能となる。   経済的スタッフィング  変動費  教育訓練の短期化  商品やサービスを1個作る(売る)ごとに増えていく(変動する)費⽤  パン屋の例だと、⼩⻨粉・卵・⽜乳・バナナ・チョコレートなど  専⾨化と熟練  共通費の配賦  ⼩⻨粉とオーブンだけでパンの製造が可能で、  機械の発明促進  オーブンが100万円で、パン1個あたりの⼩⻨粉が100円だとして、  ⽣産規模が100個の場合、パン1個当たりの費⽤は1万100円。  段取り替え時間の節約 =(単位当たり変動費︓100円+単位当たり変動費︓1万円)  ⽣産規模が1万個の場合、パン1個当たりの費⽤は200円。 =(単位当たり変動費︓100円+単位当たり変動費︓100円)  ⽣産規模が100万個の場合、パン1個あたりの費⽤は101円。 =(単位当たり変動費︓100円+単位当たり変動費︓1円) 9 10 ③ ⼯場や設備の費⽤と⽣産能⼒の関係 1.規模の経済:まとめ  単位あたり利益  例︓⽯油精製所のタンク 一辺が10m 一辺が100mの  費⽤の⼤部分が材料費 の立方体 立方体 = 単位あたり価格 ー 単位あたり費⽤ (鉄) 表面積 10X10X6 100X100X6  材料費(鉄の使⽤量) 費用 600 60,000 生産量(=生産規模) 単位あたり費用 =タンクの表⾯積 体積 10X10X10 100×100×10 が大きい の低下  ⽣産能⼒(貯蓄能⼒) 0 ①分業の進展 =タンクの体積 能力 1,000 1,000,000 経済的スタッフィング 単位あた 600 /1,000 60,000 / 教育訓練の短期化 り費用 1,000,000 専門化と熟練 =0.6 共通費の配賦 =0.06 機械の発明促進 段取り替え時間の節約 ②固定費の分散 ③設備費用と生産能力の関係 1.規模の経済︓注意点 2.学習の経済性(経験曲線効果)  最⼩最適規模(minimal efficient scale)  「累積⽣産量が2倍になる毎に、単位あたりコストが⼀ 定の割合で低下する」という経験則 単位あたり費用  累積⽣産量・・・それまでに作ってきた製品の数  単位あたりコスト・・・1個作るのにかかる費⽤  ⼀定の割合 = 習熟率 規模  e.g. 習熟率80%  1000個・・・1000円 4000=1000×22 最小最適規模  2000個・・・800円(=1000x0.8) 1000×(0.82)=640  4000個・・・640円(=800x0.8) 13 経験 (曲線) 効果が⽣じる理由 経験効果に関する注意点  経験を積むことで、より効率的・有効的な⽣産活動が  効果が⽣じる理由からわかるように、累積⽣産量の増⼤ 可能になる。 が、単位あたりコストの低減を⾃動的にもたらすわけで  習熟や学習によって労働者の能率が向上 はない。  仕事・作業のやり⽅が⼯夫される(e.g. 専⾨化)  ⼯程の改善  累積⽣産量が増⼤するにつれて、経験が増え、いろいろ  ⽣産設備を効率的に利⽤できるようになる な⼯夫が⾏われる結果、単位あたりコストが低減する。  資源をより有効に活⽤できるようになる(ムダが少なくな る)  つまり、単純にたくさん作ればよいわけではなく、コス  製品の標準化 ト削減の取り組みが必要になる。  製品設計が改善される 【補⾜】 コストリーダーシップ戦略 コストに影響を及ぼす他の要因  範囲の経済性(企業戦略論で) 学習の経済性 累積生産量が大きい (経験曲線効果)  保有資源(競争戦略論第12・13回で) 費用低下 利益増大  組織能⼒(競争戦略論第12・13回で) 生産量が大きい 規模の経済性  組織成員のモチベーション(ミクロ組織論で) 投資  組織設計の優劣(マクロ組織論で)  積極的に規模を拡⼤することで、上のサイクルを回 していくことが重要  などなど 17 コストリーダーシップ戦略の事例 Fordの凋落の理由 フォード ① ⼯場の陳腐化  徹底した⼤量⽣産・⼤量販売による⾃動⾞の低価格化  ⼯場の陳腐化  低コスト化を実現する⽣産・販売⽅法の追求  1917年時点で最先端の(コスト競争⼒を持つ)⼯場であっ たが、数年後にはそのコスト競争⼒は失われる。  単⼀⾞種(Model T)に絞った⽣産・販売  製鉄技術の進化  全国的な販売網の確⽴  Rouge⼯場の製鉄設備の⽣産性は相対的に低下  ⾃動⾞組み⽴てへのベルトコンベヤーの導⼊  可能な限りの垂直統合の実現  徹底した⼯程分析による⼯場管理  ⽣産設備や技術への⼤規模投資  短期的には、規模の経済性をもたらす。  中・⻑期的には、⾜枷となる  時間と供に、⽣産設備・技術は、陳腐化し、その相対的 ⽣産性を低下させる。 Ford凋落の理由 コストリーダーシップ戦略の限界 ② General Motorsとの競争 Fordの事例から  Ford  コストリーダーシップは、有効な競争戦略である。  コストリーダーシップ戦略  ⽣産設備・技術が陳腐化しない限り (⽣産技術の進歩が緩  ⿊いT型Fordの⼤量⽣産 やかな場合)  製品に対する消費者の嗜好や購買⾏動が⼀定である場合  GM  製品差別化戦略  しかし、唯⼀有効な競争戦略ではない。  様々な⾞種・様々な⾊・様々な価格の⾞を⽣産  コストリーダーシップ戦略と製品差別化戦略 コスト・リーダーシップ戦略と差別化戦略 コスト・リーダーシップ戦略 競争戦略論 単位あたりコストを下げて、利益を出す 第6回・第7回 差別化戦略 単位あたり利益=価格ーコスト 単位あたり価格を上げて、利益を出す 東洋⼤学 経営学部 ⼭⼝ 裕之 差別化戦略 1 2 製品差別化戦略 製品差別化の注意点  製品差別化とは  製品差別化とは  他の企業の製品よりも⾃社の製品の「価値が⾼い」と顧客 に思わせること × ライバルと異なることを⽬的に独創性を追求すること  『⽀払意思額 (WTP)』『留保価格』『知覚便益』『顧客価 値』を⾼める ○ ライバルが満たせていない/満たせることができない、顧 客のニーズを満たすこと。  ライバル企業の製品よりも、⾼い価格で販売可能となる 3 4 ある財に対して顧客が⾒いだす価値とは︖ 【補⾜】⽀払意思額 (WTP: Willingness To Pay)  ある製品・サービスの買⼿は、その製品・サービスの何  留保価格 (reservation price) ともいう に価値を⾒いだすのだろうか。  留保価格 - 財の⽣産・販売にかかる費⽤ = 付加価値 (余剰︓surplus)  財の購⼊によって顧客が得られる価値  余剰のうち顧客の取り分:消費者余剰 = 便益 (benefit)・効⽤ (utility)  余剰のうち企業の取り分:⽣産者余剰 (企業の利益)  この余剰の分配は、財の取引価格によって決まる。  スターバックスでコーヒー買う場合、何に価値を感じて お⾦を払っているのだろうか。 消費者 余剰  ドリップコーヒー (トールサイズ) にいくらまで⾦を払っ 財の取引価格 ていいと感じられるか︖ 生産者 WTP 余剰 財の生産・ 販売費用 5 6 製品差別化のポイント 顧客のニーズは多様である  「価値がある」と顧客に認識させること。  ある種の製品を購⼊することで、得られる満⾜は顧客の  様々な要因を操作したところで、顧客の認識が変化しなければ意 間で異なる 味がない。  腕時計の例  正確な時間を知る道具  ファッションの⼀部・宝飾具  マーケティング戦略  顧客ニーズの把握と分類︓ 1.マーケット・セグメンテーション  いくら「時を正確に刻む」ようにしても、その腕時計は、  対象とする(狙う)セグメントの決定︓ 宝飾具として腕時計を購⼊する顧客にとって「価値あ 2.ターゲティング る」ものとして認識されない。  ターゲットのニーズと製品の特性の適合︓ 3.マーケティング・ミックス 7 8 知覚便益を⾼めるうえでの注意点 1.マーケット・セグメンテーション  知覚便益を⾼めるためには、  効果的な製品差別化を⾏うためには、  顧客のニーズを知り、分類したうえで、  顧客が財に対して何を求めているのかを理解し、  対象とするどの分類(客層)決める必要がある  顧客ニーズの理解  それに応える財を提供する必要がある。  特定のニーズを共有する⼀定の規模の集団(セグメント)に、 市場を細分化する。  注意点 = マーケット・セグメンテーション  顧客のニーズ(選好)は多様  万⼈受けする製品は極めて希  4つのチェック・ポイント  (1) セグメント内が同質  財の特徴 (性能・機能) の⾼低や良悪の基準は、社会的に  (2) セグメント間が異質 構成されたものであり、絶対的なものではない。  (3) 操作性(必ず数字を出して考えてみること)  画⾯の⼤きさやきれいさと、かわいさの根本は同じ  (4) セグメントの規模 9 10 市場を細分化して セグメンテーションの軸 ターゲット市場を⾒つけ出して選ぶ︕︕  地理的な軸  ⼼理的な軸  地域(関東⇔関⻄)  ライフスタイル  多様な軸を使って,市場を細分化し,狙うターゲットを  ⼈⼝(⼤都市⇔⽥舎)  伝統的 絞り込んでいく  気候(⽇本海⇔太平洋)  快楽志向  性格  ⼈⼝統計的な軸 市場  社交的  年齢  野⼼的  性別  ⾏動⾯の軸  どの地域にいる(where)  家族構成 (⾏動として表われる特徴)  誰の(for whom)  所得  使⽤経験  既婚・未婚  どんなニーズ(to meet what)  使⽤頻度  職業  ロイヤリティ を満たすのか︖  学歴 これら顧客の属性 (観察可能) データ (POS等) から、製品に対する顧客の ニーズ (観察不可能) を推察する。 11 12 2.ターゲティング 3つの基本アプローチ  対象とする(狙う)セグメントの決定 単⼀ターゲット・ 複数ターゲット・ 結合ターゲット・ アプローチ アプローチ アプローチ  3つの基本アプローチ  単⼀ターゲット・アプローチ  複数ターゲット・アプローチ  結合・ターゲットアプローチ  いくつかのセグメントに同時に受け⼊れられるようなマーケ ティング・ミックスの構築 フル・カバレッジ 13 14 ターゲティングのアプローチに関して 3.マーケティング・ミックス  より広くカバーするためには、より豊富な資本(資産・  特定のセグメントのニーズに合致するように、製品に関 経営資源)が必要。 する様々な要因を操作することで、  顧客にとって「価値ある」製品を作る  (特に資本の⼩さい企業が)うまくやるためには、以下 のようなセグメントにターゲットを絞る必要がある。  製品に関する様々な要因  ⼀定の需要が存在するけれど、  物理的特性 ⇔ ⼼理的特性  ライバルが存在しない  それ⾃体 ⇔ 周辺  = 市場の隙間︓ニッチ・セグメント  これを操作する⼿段 = マーケティング・ミックス 15 16 マーケティング・ミックス︓4Pʼs 顧客(セグメント)間の違い  4Pʼs 4つのP ①Product︓ 価値を⾒いだすポイントの違い ① Product 商品・製品 ② Price 価格 ②Price︓ 財布の中⾝・値頃感の違い ③ Promotion 顧客との情報のやりとり ④ Place 流通チャネル ③Place: ⾏動範囲の違い ④Promotion: 情報探索・獲得⼿段の違い ターゲット・セグメント のニーズ 17 18 ① Product ①Product 顧客は製品の何に価値を⾒出すのか︖ 製品の設計パラメータ  腕時計の購⼊例(客はどこに注⽬するか) 物理的特性 ⼼理的特性  製品⾃体  製品⾃体  製品=サービスの束  機能  イメージ  品質  ブランド  顧客は、様々なサービスの複合体として、ある製品に価値 を⾒出す。  デザイン  特定の仕事を達成するためにその商品を「雇って」いる  製品以外  製品以外 (Levit, 1960)  納期  企業イメージ  企業ブランド  規格  (e.g. インテル⇔AMD)  顧客はどんな商品を欲しがっているのか。  ネットワーク外部性  スイッチングコスト  アフターサービス(保守・メンテナンス)  顧客はどんな仕事/問題を抱えているのか。  (e.g. ⼟⽊・建設機器, 複写機) 19 20 ② Price ②Price 設計パラメータ  値段の「⾼さ」が顧客にとって「価値」になる場合もあ  定価(希望⼩売価格) る。  割引率  ⽀払い期限やローンの条件  価格≒性能・品質という「常識」(ハロー効果)  ⾼級オーディオ  価格のパラメータを決める際の基本  顕⽰効果(ヴェブレン効果) ① その製品のコスト  ブランド物のバッグ・腕時計 ② 競争相⼿が設定している価格  ⾃動⾞ ③ 顧客の財布の具合 21 22 ③ Promotion ③ Promotion 消費者が購買に⾄るプロセス 基本的な考え⽅  Promotion(広告) =製品に関する情報を顧客に伝達すること  製品やサービスに関する情報を、  AIDMAモデル︓購買の意思決定に関するモデル  ターゲットとする顧客層に対して、 存在を知らない  いかに効果的・効率的に伝達するか。 Attention:注意 偏見 これらの要因 Interest:関心 を取り除くため  その基本的な⼿段(選択肢) 価値(効用)を感じない にPromotionが =4つのパラメーター Desire:欲望 必要となる  広告 欲しいことを覚えていない  販売員活動 Memory:記憶  広報活動・パブリシティ 売っていない  販売促進 Action:行動(=購買) 23 24 ③ Promotion ③ Promotion 設計パラメータ その1 設計パラメータ その2 1.広告 3.広報活動 パブリシティ︓  特徴︓広範囲だが,⼀⽅通⾏  特徴︓不確実だが説得⼒⼤・コスト低い.  種類  クチコミも類似の効果  (a) テレビ・ラジオ︓時間帯 極めて費⽤が⾼い  (b) 雑誌・⼀般紙・専⾨誌 4.販売促進︓  (c) インターネット広告  (a)キャンペーン  (d) その他︓カンバンやつり広告,新幹線⾞内ディスプレイなど  (b)イベント  (c)試供品 2.販売員活動  (d)ティッシュやタオル  特徴  狭い範囲だがインタラクティブ  ⼈件費は⾼い(出来⾼給の場合もある) 25 26 ③ Promotion ④Place 基本戦略︓プッシュとプル チャネルの設計パラメータ プッシュ戦略 プル戦略 メーカー 最終顧客 製造業者 営業マン 指名注文 ・売り方・使い方 卸売業者 に関する 広告 説明・説得 ・販売店の支援 小売業者 顧客 ②出口までの流れの設計 ①出口=小売業などの選択 27 28 ⼩売業(製品の最終出⼝)の種類 チャネル政策︓2つの基本型 有店舗⼩売業 無店舗⼩売業 ①百貨店 ①⾃動販売機 開放型チャネル政策 閉鎖型チャネル政策 メーカー ②専⾨店 ②訪問販売 ③スーパーマーケット (⼾別訪問,ホームパーティ展⽰販売) (総合スーパー,⾷品スーパー,⾐料品スーパー) ③通信販売 卸 ④ディスカウント・ストア (カタログ,TVショッピング,インターネット) ⑤コンビニエンス・ストア ⑥⼀般⼩売店 小売店 ⑦キヨスク等駅の売店 出所) 相原(1989),p.107より一部修正して掲載. 製品の最終出⼝が製品の⼼理的特性 (イメージ) に与え 顧客 る影響は⼤きい。 29 30 製品・企業イメージのコントロール可能性と販売量 PlaceとPriceに関するトピック とのトレードオフ  流通・⼩売側がパワーを持つようになると、メーカー側 がPriceやPromotionをコントロールできなくなる。  とりわけ家電で顕著  定価・割引率をメーカーが設定したとしても、流通・⼩売 が無視する。  → 定価を設定しない=オープン価格  開放型チャネルを採ると、販売形態(価格・売り⽅な  → 取引停⽌ ど)を監視・コントロールできなくなる。  松下電器とダイエーの30年戦争(1964年〜)  買回り品や、イメージ/ブランドが重要な製品では危険。  ダイキンとヤマダ電機  ⾃動⾞、家電、ファッションブランド、化粧品 etc…  パナソニックの「指定価格制度」(2021年〜) 31 32 整合性が重要 B-Three  Target segment:  マーケティング・ミックス内  Product  Place  Promotion  Product  Promotion  Price  マーケティング・ミックスとセグメントの間  Price  Place 33 34 マーケティング戦略の考え⽅ より⾼度な思考法 売りたい製品のイメージを念頭に置いて, 1.客をイメージする セグメンテーションを行なう (製品のイメージを練り直す) (セグメンテーションを修正する) 2.時間展開 多様なセグメントの中から 3.セグメント間の相互作⽤ ターゲット・セグメントを選び出す (ターゲットを変更する) 4.ニーズのコントロール 選ばれたセグメントにフィットするような マーケティング・ミックスを構築する (マーケティング・ミックスを再構築する) 35 36 今回のまとめ  製品差別化とは  ⾃社の製品の「価値が⾼い」と顧客に感じさせることで、他社よ りも⾼い価格での販売を可能にすること。  その⽅法 = マーケティング戦略  ニーズの把握・分類・特定︓  セグメンテーション・ターゲティング 整合性  ターゲットニーズへのアプローチ  マーケティングミックス︓4Pʼs  Product  Place  Promotion 整合性  Price 37 競争戦略論 第8回 競争戦略の考え⽅ 東洋⼤学 経営学部 ⼭⼝裕之 1 事業成果の理由に対する2つの⾒⽅  内側の理由に注⽬する説明  能⼒・資源  外側の理由に注⽬する説明  ポジショニング  企業も同じ  企業の持っている能⼒・資源  利益を⽣み出す技術・⼈材を持つ。  企業のポジショニング  利益が⽣まれやすい産業で事業を⾏っている。 2 資源とポジションのどちらが重要か  どちらも重要。  ⼀⽣懸命努⼒したから、優れた経営資源を持っているから、 儲かるとは限らない。  儲かる産業で活動するから、儲かるとは限らない。  資源と外部環境のマッチングが重要。 3 SWOT分析 〜超古典的な戦略分析の枠組〜 企業内部 外部環境 Strengths Opportunities Weakness Threats 戦略上の選択 4 SWOT分析  戦略に対する考え⽅が簡潔にまとめられている。  企業の内側︓企業が保有する経営資源  従業員・⽣産設備・技術⼒etc  企業の外側︓企業が直⾯する外部環境要因  需要や技術の状態etc  年収も同じように考えられる。  優れた能⼒・技術を持っているから。(内側)  儲かる業界・会社・職種についているから。(外側)  重要なのは、能⼒とポジションのマッチング 5 SWOT分析の問題点  具体的な⽰唆は導かれるのか︖  主観的な判断の余地  外部環境の機会と脅威︖  経営資源の強みと弱み︖  静態的︓時と供に移り変わる 6 戦略的に考える︓ 短期的な戦略と中⻑期的な戦略 現在 将来 外部 外部 いかに形成するか 時間 マッチング マッチング いかに維持するか 内部 内部  外部環境は時間の経過と供に変化することがある。  外部と内部のマッチングを中⻑期的に達成・維持するた めには、将来の状況を読まなければならない。 7 儲かる要因を作り出すプロセスを考える 要因 プロセス ビジネス・モデル=儲かる仕組み シナリオ 環境(機会と脅威) いかに形成するか フィット いかに維持・再生産するか 経営資源(強みと弱み) いかに展開するか (組織の諸活動) 経営戦略 =外部環境を構成する様々な要因と良い関係を作る 8 プロセスを考える ③いかにして到達するのか というストーリー 環境 時間 環境 フィット フィット 経営資源 経営資源 ①どのようにして生まれたのか ①どのようにして生まれたのか というストーリー というストーリー ②どのようにして長期間維持されているのか というストーリー 9 事業・競争戦略の4つのアプローチ Ⅲ 視点の基準 Ⅰ 外 ポジショニング・ ゲーム・ アプローチ アプローチ 資源アプローチ 学習アプローチ 内 Ⅱ Ⅳ 要因 プロセス 注目する要素 10 次回以降の概要  競争優位 (competitive advantage) をもたらす要因の検討と整理  競争優位=競合他社 (産業平均) を上回る収益性  2つの捉え⽅に基づく説明  企業外の要因 (=産業構造) に注⽬: Positioning View  企業内の要因 (=経営資源) に注⽬: Resource Based View その前に  今からの議論とここまでの議論(⼀般戦略)との関係性は︖  ⼀般戦略も企業の利益を説明していたのでは︖ 11 ここまで (⼀般戦略) の復習  ⼀般戦略  製品差別化戦略  知覚便益・WTP・顧客価値・留保価格の向上  コストリーダーシップ戦略  費⽤の削減 しかし  いいものを安く作っても儲かるとは限らない。 Why  WTP≠売上(付加価値≠利益)だから  付加価値= WTP ー 費⽤  利益 = 売上 ー 費⽤ 12 事業活動で利益を獲得するためには ① 創造された価値 企業が創造 した価値 顧客(知覚) ③ 利利 価格 益益 売上 費用 便益 ② 費用  付加価値の創造  ①知覚便益の向上︓差別化戦略  ②コストの低下︓コストリーダーシップ戦略  付加価値の占有  ③価格の向上/維持 13 事業活動で利益を挙げる条件  付加価値の創造  ①知覚便益の向上︓差別化戦略  ②コストの低下︓コストリーダーシップ戦略  付加価値の占有  ③価格の向上/維持  利益を上げるうえで、  ①と②(=付加価値の創造)は必要条件に過ぎない。  ①/②と③がともに達成される必要がある。  しかしながら、⼀般戦略の議論は③についてあまり説明していない。  ①ないし②における圧倒的な優位性が重要だよ。という指摘に留まる。  そのことによって ③ がもたらされるという暗黙的な仮定が置かれている。  価値の占有可能性を⾼めるためには︖ = 価値の占有可能性 (→競争優位性) を左右する要因は︖ 14 今回のまとめ  「儲かっている理由」の考え⽅ =「競争優位性」の「説明」⽅法  2つの考え⽅  Positioning View︓  企業外の要因 (=産業構造) に注⽬する考え⽅  儲かりやすい (=競争優位を維持しやすい) ポジションを選択している から。  Resource Based View:  企業内の要因(=経営資源)に注⽬する考え⽅  優れた(=競争優位の獲得・維持を可能にする)経営資源を保有して いるから。  この2つの考え⽅  競争戦略論「⼀般戦略」では不⼗分な部分 (利益の占有可能性) の説明を試みる考え⽅。  1980年代以降に発展 15 今回のテーマ  Five-Forcesをマスターすること  Porterによって提⽰されたフレームワーク 競争戦略論 第9〜12回 外部環境と事業戦略  Five-Forcesとは︖  価値の占有可能性を左右する、企業外部の要因(産業構造)  ある産業 (事業) が魅⼒的 (収益可能性が⾼い) かどうかをその産業の 構造的特徴に基づき分析する枠組み 東洋⼤学 経営学部  2つの使い⽅ ⼭⼝ 裕之  儲かる産業構造を選ぶ  儲かる産業構造を作り出す⽅法 1 2 企業にとって儲かる産業とは Five-Forces  ① 付加価値が⼤きく ② その占有可能性が⾼い産業  「産業の占有価値」に影響を与える要因として、企業の = 占有価値 (appropriable vale) = 収益性の⾼い産業 外側の要因(外部環境要因︓産業構造)に注⽬  ちなみに占有価値という⽤語はあまり⼀般的ではないです。  「産業の占有価値(=収益性)」に⼤きな影響を与えてい  ⼀般的には、産業の魅⼒度 (attractiveness) とか、利益ポテン る要因を探るための枠組 シャルという単語が使われます。  影響を及ぼしうる要因は5つに分類される。  産業全体の占有価値  そのベースは産業組織論 (経済学の⼀領域) =産業全体の売上 - 産業全体の費⽤ =顧客が⽀払ってくれるお⾦の総額 ーインプット(原材料)に対する⽀払い 3 4 産業組織論を逆⼿にとった 産業の占有価値を左右する Porter(1980) 5つの⼒ (five forces)  完全競争=企業の利益はゼロ 新規参入の脅威 threat of new entrants  完全競争が妨げられるほど、企業の利益は⼤きくなる。 供給業者(売手)の 既存企業間の 顧客(買手)の 交渉力 対抗度 交渉力 bargaining power rivalry bargaining power  企業の利益が⼤きくなるような(完全競争が妨げられる of suppliers of buyers ような)産業構造は何か 代替品の脅威 threat of substitutes 5 6 ポジショニング・アプローチ 「5つの⼒」が収益性に及ぼす影響 の基本スタンス 1,2,3,5による利益移転(利益が減るor顧客に流れる)  企業にとって、利害関係者(外部主体︓他の企業や顧客 価格下落→売上高減少 など)は競争相⼿  得られるはずだった付加価値を奪っていく (利益ポテン →利益減少→収益性悪化 シャルを低下させる) 存在 利益=売上高-費用  「5つの脅威」とも呼ばれる 費用上昇→利益減少→収益性悪化 4による利益移転(利益が減るor 供給業者に流れる  得るはずだった付加価値を利害関係者によって奪われな 20円 利益 い産業が、魅⼒的な産業 占有 占有 占有 価値 価値 利益 50円 価値  得るはずだった利益が収奪されない理由は︖ 顧客が 顧客が 顧客が 70円 売上 得る価値 70円 50円 得る価値 20円 70円 売上 得る価値  「5つの脅威」が低い産業 120円 売上 120円 120円 100円 120円 売上 費用 120円  脅威が低くなる構造的な特徴を有する産業 費用 費用 70円 費用 70円 50円 50円 70円 7 8 産業の占有価値(収益性) 産業の占有価値(収益性) を左右する5つの⼒ を左右する5つの要因  産業の占有価値は5つの⼒ (脅威) により左右される。  収益を⾼める⼿段=戦略を「論理的に」探す 産業の構造的特徴 five forces  この5つの⼒を個別に検討することで、産業の占有価値 (=利益ポテンシャル=収益性) の多寡が分析可能になる。 ? 既存企業間の 自社事業の 差別性↓ 対抗度↑ 収益性↓  教科書的⽰唆︓ 新規参入の  この分析に基づき、参⼊/退出の意思決定をすべき。 脅威↑ 所属産業の 代替品の 占有価値↓  実践的⽰唆︓ 脅威↑ 所属産業の  この分析に基づき、収益を⾼める⼿段=戦略を探る。 スイッチング・ 顧客(買手)の 売値↓ ?  現在の脅威を弱める⽅法 = 脅威を左右する要因を探す。 コスト↓ 交渉力↑  そうした⽅法が存在しなければ、退出すべき。 供給業者(売手) 所属産業の の交渉力↑ 費用↓ 9 10 産業の占有価値(収益性) 1.既存企業間の対抗度 を左右する5つの要因  当該産業の価格競争に関わる要因  産業内で価格競争が起きると、価格=売上⾼が減少し、 利益が減少する。  1.既存企業間の対抗度  産業の占有価値(≒企業の利益)が顧客に移転する(奪  2.新規参⼊の脅威 われる)  3.代替品の脅威  ⽣産要素/製品市場の交渉⼒に関わる要因  価格競争の発⽣可能性が⾼い産業の特徴  4.供給業者(売⼿)の交渉⼒ a) 企業間の競争の軸が価格に陥りやすい  5.顧客(買⼿)の交渉⼒ b) 供給過剰に陥りやすい(供給構造の問題) 11 12 1.既存企業間の対抗度︓ 1.既存企業間の対抗度︓ 既存企業間の対抗度を左右する主な要因 (a-1) 産業集中度 (↓)  価格競争の発⽣可能性を⾼める産業の構造的特徴  「競争の激しさ」と「産業集中度」の関係  a) 企業間の競争の軸が価格に陥りやすい  産業集中度が低いほど、価格競争を仕掛けようとする企業 1. 産業集中度が低い(企業数と規模の分布) が出てきやすい 2. 差別化の困難性が⾼い(=コモディティ化) 3. スイッチングコストが低い  無数の規模の⼩さい会社 4. 当該産業の戦略的な価値が⾼い 低い 激しい  寡占状態︓数社 5. 企業間のバックグラウンドの多様性が⾼い  企業間で規模が拮抗  b) 供給構造に影響を及ぼす要因 産業 競争 1. 産業成⻑率が低い  企業間で規模に格差 集中度 の激しさ 2. ⽣産能⼒の拡⼤が⼩刻みに⾏えない(最⼩最適規模が⼤きい) 3. 固定費・在庫費⽤が⾼い  独占状態︓1社のみ 高い 緩やか 4. 退出障壁が⾼い 13 14 産業集中度の尺度 (1)︓上位N社集中度 産業の集中度の尺度(2)  上位1社集中度 デジタルカメラ産業の世界シェア ハーフィンダル・ハーシュマン・インデックス  上位3社集中度 (2015年︓出荷台数ベース) 「⽇経業界地図2017年版」⽇本経済新聞出版社  上位5社集中度 etc (ハーフィンダル指数) 順位 企業名 シェア 1 キヤノン 31.0 Rm = Σαi 2 3 ニコン ソニー 25.0 17.0 HHI=Σαi2 *αi: i社のシェア 4 サムスン電子 5.0 5 富士フイルム 4.0 *αi: i社のシェア その他 18.0 集中度が⾼い産業ほど 上位1社集中度=31.0 この講義では、「『その他』のシェアは計算しない」算出方法を採用 上位3社集中度=73.0 価格競争に陥りにくい 上位5社集中度=82.0 15 16 ハーフィンダル指数の実例 HHIを利⽤する際の注意点 太陽電池産業と⾃動⾞産業の産業集中度 太陽電池 産業 自動車 トリナ・ソーラー(中) 8.9% 1位 トヨタ自動(日) 11.2%  計算上の注意点 ジンコ・ソーラー(中) 7.0% 2位 GM(米) 11.1%  定義上、0<HII≦1の値をとる カナディアン・S(加) 6.8% 3位 VW(独) 10.9%  その他の企業の扱い⽅ JAソーラー(中) 5.7% 4位 ルノー日産 9.1% ハンファQセルズ(韓) 4.5% 5位 現代自動(韓) 8.6%  解釈上の注意点(重要) その他 その他 67.1% 49.1%  この指標値の評価に絶対的基準はない。 0.022719 HHI 0.052423  価格競争に陥りやすいかを判断する基準のひとつ。 計算式 2 2 2 2 2  →これだけで判断するのは危険 HHIs= (0.089)  ( 0. 070 )  ( 0. 068 )  ( 0. 057 )  ( 0. 045 )  (道具に「使われ」ないように!!) 2 2 2 2 2 HHIa= (0.112)  ( 0. 111 )  ( 0. 109 )  ( 0. 091 )  ( 0. 086 )  HHIが相対的に⾼いのは、⾃動⾞ 産業であることから、  他の要因を無視してあえて⾔うならば、  太陽電池産業の⽅が、競争が激しくなりやすい。 17 18 1.既存企業間の対抗度︓ 差別化の次元 (a-2) 差別化の困難性↑ 製品内の属性 製品外の属性  顧客は、製品の差別性を認識できない場合、価格を選択 基準に⽤いる ・納期 ・機能 ・規格 客観的属性 ・品質 - スイッチングコスト ・デザイン - ネットワーク外部性 ・アフターサービス  この場合、企業にとって、顧客に⾃社の製品を選択させ ・イメージ ・企業イメージ る唯⼀の選択肢は「価格を下げる」こと。 主観的属性 ・ブランド ・企業ブランド  企業は、ライバルよりも価格を下げようとする強い動機  差別化が可能な場合︓価格競争の回避が可能 を有する  差別化が可能な場合︓価格が唯⼀の訴求点 / 評価軸とな り、価格競争が⽣じやすくなる (= コモディティ化)。 19 20 1.既存企業間の対抗度︓ 1.既存企業間の対抗度︓ (a-3) スイッチング・コスト↓ (a-4) 当該産業の戦略的価値↑  スイッチング・コスト  当該産業 (事業) で⾼いシェア (競争優位) を確⽴するこ  利⽤している製品・サービスを変更する際に、顧客が被る とが、⾃社の保有する他の事業にとって、重要な意味を 費⽤ 持つ場合。  製品Aから製品Bに変える際に発⽣する様々な費⽤  ⾦銭的な費⽤だけではない。  当該事業の利益を度外視した低価格戦略が採⽤されやす くなる。  電⼦機器メーカーにとってのDRAM事業  スイッチング・コストを⾼める⽅策  家電メーカーにとっての液晶テレビ事業  ポイントカードの導⼊︓航空機産業のマイレージ  ネットワーク化︓アップルのi-cloud, i-calender, apple watch  スーパーのもやし売り場のような存在 21 22 1.既存企業間の対抗度︓ 1.既存企業間の対抗度︓ (a-5) 企業バックグラウンドの多様性↑ (b-1) 産業成⻑率↓  類似したバックグラウンド (経験) を持つ企業間では、  産業成⻑率が低いほど、価格競争が起こりやすくなる。 戦略観や価値観 (=産業レシピ︓industry recipes) が類  売上を上昇させる/維持するために、価格を低下させようと 似していく。 する動機が企業に⽣じる。  市場の成⻑期︓新規顧客の開拓  そうした企業間では、「価格競争の回避」という⽬的が  市場の成熟・衰退期︓ 値下げによる既存顧客の奪い合い 暗黙的に共有されやすい。  e.g. 携帯電話の通信量  異なるバックグラウンドを持つ企業の参⼊により価格競争 が激化した例  ソフトバンクの参⼊を契機としたキャリア間の価格競争  ちなみにこの要因は (a-2) 差別化の困難性=コモディ  〜2006年 DoComo・AU・Vodafone(J-phone) ティ化ともリンクしている。  2006年〜 ソフトバンク︓携帯電話事業へ参⼊  楽天の参⼊を契機としたキャリア間の価格競争 23 24 1.既存企業間の対抗度︓ 1.既存企業間の対抗度︓ (b-2) 最⼩最適規模↑ (b-3) 固定費・在庫費⽤↑ 需要量  固定費 量 供給過多 =製品やサービスの⽣産・販売量に関わらず発⽣する費⽤ 供給量  固定費が⾼い場合、販売数が多いほど単位あたり費⽤が低下  たくさん販売(そのために値下げ)しようとする動機が⾼まる  1時間 100個のパンを焼く窯 2400万円  12時間稼働 1200個 1個あたり2万円  24時間稼働 2400個 1個あたり1万円 時間  在庫費⽤  産業や技術の特徴により、「規模の経済性」が最⼤限に発揮される 規模 (最⼩効率規模︓minimal efficient scale) は異なる。 =在庫を⼀定期間保有することによって発⽣する費⽤  より早く売り切ろうとする(そのために値下げする)動機が⾼まる  保管することで⽣じる費⽤ (e.g. 閉店セール)  最⼩効率規模が⼤きい産業では、⽣産能⼒の拡⼤が⼩刻みに⾏えず、 供給過多の状況が⽣じやすい。  製品の陳腐化によって⽣じる費⽤(e.g. 服・⽣鮮⾷品のセール) 25 26 1.既存企業間の対抗度︓ 2.新規参⼊の脅威 (b-4)退出障壁↑  退出障壁 (=当該産業から撤退できない理由) が⾼まる  参⼊障壁 (entry barrier) ほど、価格競争が持続しやすくなる。 (a)当該産業に参⼊ができない  事業の売却が困難 (b)既存企業と⽐較して不利な条件でしか 当該産業に参⼊できない  ⽣産設備・⼈員が他の企業・産業に転⽤できない  特定の企業・産業に専⾨化(特異的資源)  いずれかの条件が存在すると、価格競争が相対的に激化 しにくく、当該産業からの利益移転を防ぎやすくなる  利益が出なくても、製品の製造・販売を継続しなければ ならなくなる。  (a)と (b) は、それぞれ、価格競争が起きにくい産業の 特徴 = 占有価値を⾼める要因  結果として価格競争が持続・激化してしまう。 27 28

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