官僚制に関する講義資料 PDF

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この資料は、ウェーバーの官僚制、科学的管理法、管理過程論、フォード生産システムに関する講義資料です。官僚制の特性や歴史的背景、現代的な組織論への応用などが解説されています。

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1. 官僚制(ウェーバー)とその逆機能 2. 科学的管理法 3.管理過程論 4.フォード生産システム M.ウェーバーによる社会的⾏為・関係と団体の理解...

1. 官僚制(ウェーバー)とその逆機能 2. 科学的管理法 3.管理過程論 4.フォード生産システム M.ウェーバーによる社会的⾏為・関係と団体の理解 第4回講義 複数の⼈々による社会的⾏為の相互関係を社会関係としてとらえた 古典的組織論と伝統的組織論 社会的⾏為とその意味内容がどの程度規則性を持つか類型化 経営学部 蜂巣 旭 Akira HACHISU ① 慣用 ︓ある範囲の⼈々の間で、社会的⾏為が規則的に繰り返される ② 習俗 ︓慣⽤が⻑く続くと、⼈々が規則的な⾏為に慣れ「習俗」に転化 (ただし⼈々の⾃発性に依存しており不安定) ③ 習律 ︓規則の有効性を保障する法の形をとった社会関係へ ※ 秩序が閉鎖的に維持されている社会関係が「 団体 」 2 1. 官僚制(ウェーバー)とその逆機能 2. 科学的管理法 3.管理過程論 4.フォード生産システム 1. 官僚制(ウェーバー)とその逆機能 2. 科学的管理法 3.管理過程論 4.フォード生産システム M.ウェーバーによる官僚制の社会学的な研究 官僚制支配の特徴 社会関係が⼀定の規則性・持続性を持つのはなぜか︖ ①持続的な規則に基づく職務の遂⾏ → 抵抗を抑えるような、権威による支配が働くため ②権限ないし管轄権の範囲において遂⾏される職務 ③階層的に結びつく職務 支配の正当性を与える根拠 ④技術的な規則あるいは規範としての規則の運⽤に不可⽋な専門教育 ① カリスマ支配 ︓ ⑤管理スタッフの管理⼿段・生産⼿段からの完全な分離 卓越した超⼈的能 ⑥職位の占有者皆無 ⼒を持つ者が存在 による支配。合理的に制定された規則に従うべく従う。 ② 伝統的支配 ︓ ⑦管理における⽂書主義の徹底 ⼈々は神聖性をもった伝統とそれを体現する⼈物に恭順する まとめると、① 権限 の原則、② 階層組織 の原則、③ 専門性 の原則、 ③ 合法的支配 ︓ 卓越した超⼈的能⼒を持つカリスマが存在 ④ ⽂章主義という特質を持ち合わせている カリスマ亡き後は、①や➁に移⾏する( カリスマの⽇常化 ) 3 合理的な規則に基づいて配分された役割で⼈間関係が形成される 4 1. 官僚制(ウェーバー)とその逆機能 2. 科学的管理法 3.管理過程論 4.フォード生産システム 1. 官僚制(ウェーバー)とその逆機能 2. 科学的管理法 3.管理過程論 4.フォード生産システム 官僚制支配による団体の合理性 伝統的組織論によるウェーバー的官僚制の解釈 近代官僚制は、 ① 官僚制組織は共通目的を追求する協働の体系である 政治・⾏政領域 官僚制官庁 ② 官僚制組織は組織規模の量的拡⼤に伴う技術的必要 私的経済の領域 官僚制経営 性から発生する として現れる ③ 官僚制組織は現代的合理化(機械技術と⼤量生産の マックス・ウェーバー 発展)が要請する必然的帰結である (1864-1920) 組織が⼀定規模になると、組織の共通目的を組織メンバーが協 近代官僚制は、卓越した計算可能性‐形式的合理性を実現する ⼒して能率的に追及するためには、組織メンバー相互の役割分 ことによって、近代以降の社会構造の基軸となっていく︕ 担や権限関係のような仕組みが必要になるが、それこそが官僚 制組織なのである 5 6 1. 官僚制(ウェーバー)とその逆機能 2. 科学的管理法 3.管理過程論 4.フォード生産システム 官僚制の逆機能︓マートン(1949)『社会理論と社会構造』 官僚制の逆機能(R. マートン) 手段に過ぎない形式的な規則の遵守が重視・徹底され、 官僚制的規律の厳格な維持、服従への過剰な同調、規律維持 手段や規則の遵守が目的化されてしまうこと の⾃⼰目的化といった官僚制内部の緊張をウェーバーは軽視 している 規則 目的 社会体系を構成する要素間の緊張や矛盾が社会体系の変化の 目的を達成するための (不良中⾼生が髪を染める) 契機をうみだす 手段として作られる 官僚制の逆機能 ︓ 「規則を守る」ことが 徹底される (髪染めは禁止を徹底) 手段に過ぎない形式的な規則の遵守が重視・徹底され、 「規則を守ること」が (地⽑が茶⾊でも、⿊く染め 手段や規則の遵守が 目的化 されてしまうこと 目的化され、本来の 続けなければ退学︕) 目的から離れた規則 7 が押し付けられる 1. 官僚制(ウェーバー)とその逆機能 2. 科学的管理法 3.管理過程論 4.フォード生産システム 科学的管理法が出現した背景 官僚制により組織や社会は⾼度な分業や調整が 科学的管理法が出現した背景 可能になり、⾼度な安定した運営が可能になる 1900年あたりのアメリカ 管理者の 管理 単純出来⾼制 による賃⾦体系 経営者 に しかし官僚制に不可⽋な規則による運営によっ 50個/日作れたら 80個/日作れたら (基準が上がらぬよう、 皆で協⼒して作り過ぎない 日給1万払います︕ 頑張ります︕ て、環境に適合しない組織や慣習が維持される 日給1万払うね︕ よう工夫しよう…) 出来るよう になると… 経営者 労働者 経営者 労働者 8 1. 官僚制(ウェーバー)とその逆機能 2. 科学的管理法 3.管理過程論 4.フォード生産システム テイラーの科学的管理法︓『科学的管理の原則』(1911) 科学的管理⽅法 ① : 経営者の成り⾏きによる管理でなく、 効率的な労働者の時間研究と動作研究を⾏い、労働者の 作業標準を科学的に設定 課業 を設定 標準的な作業条件のもとで、労働者が1日に達成できる ①労使の対⽴関係を協調関係に (すなわち達成しなければならない)最⼤限の作業量 ②組織的な怠業を解消 課業を達成できた者 ⾼い賃⾦ 管理の合理化によるコスト削減 達成できなかった者 懲罰的な低い賃⾦ ① 作業の標準化 の導入 ② 職能別職⻑制度 ︓ ② 差別的賃⾦制度 の導入 フレデリック・テイラー (1856-1915) 8つの職能に分類し、それらを工場の現場管理者(職⻑)に 合理的に管理させた 9 10 1. 官僚制(ウェーバー)とその逆機能 2. 科学的管理法 3.管理過程論 4.フォード生産システム 1. 官僚制(ウェーバー)とその逆機能 2. 科学的管理法 3.管理過程論 4.フォード生産システム テイラーの科学的管理法の⼈間モデル 科学的管理法の⼈間モデルに対する批判 単純な⼈間モデルを想定していると解釈できる 単純な⼈間モデル(経済⼈仮説)を想定 経済合理性(損得)だけで⾏動を決める利⼰的な⼈間像 労働者の感情や価値観という⼈間的側面を軽視している 経営者の成り⾏きではなく、客観的・科学的な根拠に 基づいて課業を設定し、合理的にカネを与えれば、労 ◆ ホーソン実験以降、組織の⼈間的側面を重視する 働者は管理者に敵意を持たないはず… 「⼈間関係論」が発展した 差別的出来⾼給を設定すれば、損得がはっきりするので ※ 詳しくは「ミクロ組織論」で 労働者は努⼒をするはず… 11 12 1. 官僚制(ウェーバー)とその逆機能 2. 科学的管理法 3.管理過程論 4.フォード生産システム 1. 官僚制(ウェーバー)とその逆機能 2. 科学的管理法 3.管理過程論 4.フォード生産システム ファヨールの管理過程論 フォード生産システム フランスの鉱山会社の経営者 ① 大重 生産方式 『産業ならびに⼀般の管理』(1916) アメリカの⾃動⾞会社フォードの生産方式 20世紀初頭の確⽴され、⼤量生産が可能に 管理の 一般 ( 14 項目) ⼀⾞種(T型)だけを⼤量生産し低価格で普及させる 規律 分業、権限と責任、 階層組織など 、集権、 作業の 標準化 とベルコンベアによる 移動組⽴ 法 6つの経営機能 特定の作業だけに集中させ同じ作業を繰り返させる 技術、商業、財務、保全、会計、管理 特定の作業の熟練度が⾼まり、作業効率が⾼まる ので、低コストで効率的に生産できる ヘンリー・フォード アンリ・ファヨール (1863-1947) 管理機能を重視 (1841-1925) 従業員の賃⾦も上昇(しかし離職率は低くない) 13 14

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