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[急速な研修のオンライン化で注目!ブレンディッド・ラーニングの特徴と重要性] 新リモート時代に突入し、新たな人材育成方法を模索する人が増えています。 急速に進む研修のオンライン化は、オンラインを活用した研修形態を発展させ、新たな学びの可能性を示しましたが、その反面、「思ったような学習効果が表れない」な...
[急速な研修のオンライン化で注目!ブレンディッド・ラーニングの特徴と重要性] 新リモート時代に突入し、新たな人材育成方法を模索する人が増えています。 急速に進む研修のオンライン化は、オンラインを活用した研修形態を発展させ、新たな学びの可能性を示しましたが、その反面、「思ったような学習効果が表れない」などの課題も生みました。 そんな中、新たな学びの方法として注目されているのが、ブレンディッド・ラーニングです。「なぜ今重要なのか?」「本当に高い学習パフォーマンスが期待できる方法なのか?」と、疑問に思う人も多いのではないでしょうか。 そこで本記事では、ブレンディッド・ラーニングの特徴やその重要性について、注目されるに至った背景とともに説明します。 目次 1) ブレンディッド・ラーニングとは? 2) ブレンディッド・ラーニングはなぜ今重要なのか? 3)研修オンライン化の先を行くブレンディッド・ラーニング 4) まとめ:ブレンディッド・ラーニングで加速する研修オンライン化の波に乗ろう! 1) ブレンディッド・ラーニングとは? ブレンディッド・ラーニング(blended learning)とは簡単に言うと、テクノロジーを取り入れた複数の学びをブレンドした学習方法のことです。 これまでの研修は、指定された場所に集まり講師やインストラクターが受講者に対して指導するという、対面型が主流でした。しかしブレンディッド・ラーニングは、例えば集合型研修とeラーニングを組み合わせた学習プログラムを提案するというふうに、複数の学習形態を取り入れて、新たな学びを構築します。 1)-1 ブレンディッド・ラーニングがブレンドする5つの要素 ブレンディッド・ラーニングがブレンドする\"学び\"の要素は、以下の5つに大きく分けられます。 ① メディア(学習媒体):本、動画、イラスト、写真、ブログ、SNSなど ② 学習活動(学び方):講義、対話、チャット、投票、疑似体験(VR)、シミュレーション、アンケードなど ③ 学習者(学ぶ人):バックグラウンドやスキルの習熟度、パーソナリティ、業種、業界、年次、能力など ④ セオリー(理論):認知科学、行動科学、脳神経科学、心理学、マーケティング理論、情緒的アプローチ(例:芸術)など ⑤ 提供方法(学びの形態):オンライン学習、オンライン研修、対面型集合研修(オフライン研修) など ブレンディッド・ラーニングというと、⑤の要素がよく知られていますが、例えば新入社員研修に上司や同僚も参加してフィードバックを実施するといった「学習者のブレンド」も、ブレンディッド・ラーニングの一つです。 タイムライン 中程度の精度で自動的に生成された説明 1)-2 ブレンディッド・ラーニングによる学習プログラムの特徴 ブレンディッド・ラーニングは、単に学びの要素を組み合わせた学習方法ではありません。各要素が持つ強みと研修のゴールをすり合わせて最適なものを選び、単独の学習形態よりも研修効果を高めた学習プログラムを提供する学習方法なのです。 例えば対面型集合研修には、講師と受講者が同じ空間と時間を共有することで、対話が進みやすいというメリットがあります。ここに、時間や場所にとらわれないオンライン学習を組み合わせると、グループワーク(対面型集合研修)に加えて事前学習(オンライン学習)の実施が可能になり、学習効果アップが期待できます。また、オンラインとオフラインの組み合わせによって研修の一部をオンラインに切り替えることが可能となり、コスト削減にもつながります。 このように各学びの要素の「いいとこ取り」をしてブレンドする点は、ブレンディッド・ラーニングの大きな特徴の一つと言えるでしょう。 2) ブレンディッド・ラーニングはなぜ今重要なのか? ブレンディッド・ラーニングが注目を集めるようになった背景には、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の発達があります。 「DX」という言葉が初めて登場したのは、2004年に発表された論文「ITと豊かな暮らし(\"Information Technology and the Good Life\")」と言われています。著者であるスウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授は、「デジタル・トランスフォーメーション」の概念について、「(発展し続ける)デジタルテクノロジーが引き起こす、または影響することによって起こる、人間生活のあらゆる面における変化」と説明しています。 DXは幅広い分野をカバーしていますが、特に経済活動において使われるようになりました。 2)-1 企業のDX化と高まる学びのDXの重要性 経済産業省が企業を対象にまとめた「『DX推進指標』とそのガイダンス」において、DXは以下のように定義されています。 "企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること" 出典:[[「DX推進指標」とそのガイダンス|経済産業省]](https://www.meti.go.jp/press/2019/07/20190731003/20190731003-1.pdf) つまり、企業のDXのゴールは、「競争優位を確立すること」であり、その手段が「デジタル技術の活用」です。そして、デジタル技術を活用して既存のビジネスから脱却し、新たな価値を生み出すために企業が真っ先に取り組むべきことが、人材育成を担う学びのDX化なのです。 学びのDX化を最優先課題にする背景には、以下4つの理由があります。 ① 新たな業務に必要なスキルを身につける機会を従業員に提供する ② 従業員に企業のビジョンを伝えて腹落ちさせ、戦略のドライバーとして行動してもらう ③ イノベーションを生み出しやすい環境を整える ④ 従業員のエンゲージメントを高める 学びのDXのこうした考え方は研修設計の基礎となりますが、対応の仕方は企業によってバラバラで、必ずしもデジタル技術が有効に活用されているわけではないというのが現状です。ある企業では、研修のオンライン化を進めるあまり、それが目的そのものになってしまいました。しかし、デジタル技術の活用はあくまでも「競争優位の確立」という目的を実現する手段です。この点を理解していないと、研究設計の段階から方向性を見誤ることになるでしょう。 2)-2 ブレンディッド・ラーニングを研修設計に採用すべき理由 理想的な学びのDXは、学習のオンライン化やデジタルデバイスの導入といった、トップダウン的なDXだけでなく、従業員や現場の声を取り入れたボトムアップ的なDXも積極的に取り入れていくことです。 なぜなら、トップダウン・ボトムアップで学びのDXを実践することにより、組織内に「学び合う」という、新たな環境が生まれるからです。全社的な学びの文化は、イノベーションを生み出すなど、企業DXを発展させる土壌となります。 そして、学びのDXの考え方を再現するのが、ブレンディッド・ラーニングです。 ブレンディッド・ラーニングには、 ・デジタル技術を活用したブレンド型の学習方法である ・教育理論から学習形態まで、さまざまな要素をブレンドして学習効果の高いコンテンツを提供する ・ニーズや状況に柔軟に対応し、新しい学びを生み出す といった特徴があります。これらは学びのDXの考え方にフィットし、トップダウン・ボトムアップDXをデザインするのに適したものなのです。 3)研修オンライン化の先を行くブレンディッド・ラーニング 2019年12月に中国の湖北省武漢市で感染が確認された新型コロナウイルス感染症は、またたく間に世界規模で広がり、日本政府は2020年4月に緊急事態宣言を発動しました。そして、緊急事態宣言によって発達したのが、テレワークやリモートワークと言われる働き方です。 3)-1 急速な研修のオンライン化によって生じた課題 2020年は\"研修オンライン元年\"と言われるほど、研修のオンライン化が進みましたが、一方で企業内学習の現場では混乱が生じ、さまざまな問題が浮上しました。 外部環境の変化が早すぎて、準備に十分な時間をかけることができなかったなど、不可抗力的な要因が理由として考えられます。しかし、オンライン研修の失敗例(課題を大量に出し、従業員に大きな負担をかけてしまったなど)を見ると、オンライン研修の特徴や受講者側の事情を考慮すればうまくいったかもしれないといった、コントロール可能な要因も挙げられるのです。 研修のオンライン化自体は悪いことではありません。しかし、活用方法を間違えてしまうと、学びのDXの再現やその先にある「競争優位の確立」につながることのない、やっても無駄な研修を実施しし続けることになるのです。 3)-2 研修のオンライン化に伴う4つの学習シーン 研修のオンライン化にうまく対応できないのは、「オンライン研修」を一つのくくりで考えているからかもしれません。 オンラインを使った学習の性質を、「同期」「非同期」、そして「一方向」「双方向」で区分すると、 以下4つの学習シーンに分けられます。 ①eラーニング(非同期・双方向) ②オンデマンド(非同期・一方向) ③オンライン・クラスルーム(同期・双方向) ④ウェビナー(同期・一方向) ![テキスト, タイムライン 中程度の精度で自動的に生成された説明](media/image2.jpeg) ここで言う同期とは「リアルタイム(同時)」、非同期とは「いつでも、どこでも」という意味です。また、一方向とは「教える側が一方的に話す」ことで、双方向とは「教える側と受ける側双方でやり取りする」ことです。 このように、オンライン研修には異なる4つの学習形態があり、それぞれの強みや使い方を把握することが、研修設計の失敗を防ぐ第一歩と言えます。さらに、「目的に照らし合わせつつ、効果・効率・コストを踏まえて組み合わせ研修を最適化させる」という考え方で、組み合わせていくことが理想です。 3)-3 4つの学習シーンをブレンドするブレンディッド・ラーニング オフライン研修から研修のオンライン化、そして研修のオンライン化が進み、4つの学習シーンが登場しました。そして、ブレンディッド・ラーニングを導入することで、オンライン化の先を行く企業内学習の構築が可能になります。 タイムライン 低い精度で自動的に生成された説明 その理由は2つあります。一つは、「ブレンディッド・ラーニングとは?」でご紹介したように、ブレンディッド・ラーニングは、「学習提供」の他にも、「メディア」などあらゆる要素をブレンドして、柔軟に学びを構築するからです。もう一つは、「事前」「当日」「事後」という学習シーンに、「職場学習」を加え、学びを深めていくという点です。 例を挙げてみましょう。 事前:動画を繰り返し見ながら事前知識を得る(オンライン学習) 研修当日:チーム単位でディスカッション(オンライン研修)、チーム演習(オフライン研修) 事後:反復学習(オンライン学習) 職場:学んだことの実践、気づきのシェア(職場学習) 職場学習をサポートするために、オンライン研修、オンライン学習、そしてオフライン研修をどのように職場学習の前後に入れていくか。こうした発想がこれからの人材育成にとって重要であり、それを学習プログラムとしてカタチにするのが、ブレンディッド・ラーニングなのです。 4) まとめ:ブレンデッド・ラーニングで加速する研修オンライン化の波に乗ろう! ブレンディッド・ラーニングの特徴や重要性についてご紹介しました。 デジタル技術は休むことなく進化を遂げ、それに伴い新たな生活様式が生まれています。企業はこうした激動の時代を生き抜く力をつける必要があり、その原動力となるのが、従業員や組織力、そして人材学習なのです。 ブレンディッド・ラーニングが重要視されるのは、従来の学習形態と、急速な研修のオンライン化によって登場した学習形態を組み合わせ、新たな学びを作り出すという、ユニークな特徴があるからです。 新リモート時代において高い学習パフォーマンスが期待できるブレンディッド・ラーニングは、企業内学習が目指すゴールを実現するために最適な学習方法と言ってよいでしょう。