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This document is a lecture presentation on competition strategy. It covers the Five Forces framework and applies it to analyze the attractiveness of an industry and identify factors affecting profitability.

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今回のテーマ  Five-Forcesをマスターすること  Porterによって提⽰されたフレームワーク 競争戦略論 第9〜12回 外部環境と事業...

今回のテーマ  Five-Forcesをマスターすること  Porterによって提⽰されたフレームワーク 競争戦略論 第9〜12回 外部環境と事業戦略  Five-Forcesとは︖  価値の占有可能性を左右する、企業外部の要因(産業構造)  ある産業 (事業) が魅⼒的 (収益可能性が⾼い) かどうかをその産業の 構造的特徴に基づき分析する枠組み 東洋⼤学 経営学部  2つの使い⽅ ⼭⼝ 裕之  儲かる産業構造を選ぶ  儲かる産業構造を作り出す⽅法 1 2 企業にとって儲かる産業とは Five-Forces  ① 付加価値が⼤きく ② その占有可能性が⾼い産業  「産業の占有価値」に影響を与える要因として、企業の = 占有価値 (appropriable vale) = 収益性の⾼い産業 外側の要因(外部環境要因︓産業構造)に注⽬  ちなみに占有価値という⽤語はあまり⼀般的ではないです。  「産業の占有価値(=収益性)」に⼤きな影響を与えてい  ⼀般的には、産業の魅⼒度 (attractiveness) とか、利益ポテン る要因を探るための枠組 シャルという単語が使われます。  影響を及ぼしうる要因は5つに分類される。  産業全体の占有価値  そのベースは産業組織論 (経済学の⼀領域) =産業全体の売上 - 産業全体の費⽤ =顧客が⽀払ってくれるお⾦の総額 ーインプット(原材料)に対する⽀払い 3 4 産業組織論を逆⼿にとった 産業の占有価値を左右する Porter(1980) 5つの⼒ (five forces)  完全競争=企業の利益はゼロ 新規参入の脅威 threat of new entrants  完全競争が妨げられるほど、企業の利益は⼤きくなる。 供給業者(売手)の 既存企業間の 顧客(買手)の 交渉力 対抗度 交渉力 bargaining power rivalry bargaining power  企業の利益が⼤きくなるような(完全競争が妨げられる of suppliers of buyers ような)産業構造は何か 代替品の脅威 threat of substitutes 5 6 ポジショニング・アプローチ 「5つの⼒」が収益性に及ぼす影響 の基本スタンス 1,2,3,5による利益移転(利益が減るor顧客に流れる)  企業にとって、利害関係者(外部主体︓他の企業や顧客 価格下落→売上高減少 など)は競争相⼿  得られるはずだった付加価値を奪っていく (利益ポテン →利益減少→収益性悪化 シャルを低下させる) 存在 利益=売上高-費用  「5つの脅威」とも呼ばれる 費用上昇→利益減少→収益性悪化 4による利益移転(利益が減るor 供給業者に流れる  得るはずだった付加価値を利害関係者によって奪われな 20円 利益 い産業が、魅⼒的な産業 占有 占有 占有 価値 価値 利益 50円 価値  得るはずだった利益が収奪されない理由は︖ 顧客が 顧客が 顧客が 70円 売上 得る価値 70円 50円 得る価値 20円 70円 売上 得る価値  「5つの脅威」が低い産業 120円 売上 120円 120円 100円 120円 売上 費用 120円  脅威が低くなる構造的な特徴を有する産業 費用 費用 70円 費用 70円 50円 50円 70円 7 8 産業の占有価値(収益性) 産業の占有価値(収益性) を左右する5つの⼒ を左右する5つの要因  産業の占有価値は5つの⼒ (脅威) により左右される。  収益を⾼める⼿段=戦略を「論理的に」探す 産業の構造的特徴 five forces  この5つの⼒を個別に検討することで、産業の占有価値 (=利益ポテンシャル=収益性) の多寡が分析可能になる。 ? 既存企業間の 自社事業の 差別性↓ 対抗度↑ 収益性↓  教科書的⽰唆︓ 新規参入の  この分析に基づき、参⼊/退出の意思決定をすべき。 脅威↑ 所属産業の 代替品の 占有価値↓  実践的⽰唆︓ 脅威↑ 所属産業の  この分析に基づき、収益を⾼める⼿段=戦略を探る。 スイッチング・ 顧客(買手)の 売値↓ ?  現在の脅威を弱める⽅法 = 脅威を左右する要因を探す。 コスト↓ 交渉力↑  そうした⽅法が存在しなければ、退出すべき。 供給業者(売手) 所属産業の の交渉力↑ 費用↓ 9 10 産業の占有価値(収益性) 1.既存企業間の対抗度 を左右する5つの要因  当該産業の価格競争に関わる要因  産業内で価格競争が起きると、価格=売上⾼が減少し、 利益が減少する。  1.既存企業間の対抗度  産業の占有価値(≒企業の利益)が顧客に移転する(奪  2.新規参⼊の脅威 われる)  3.代替品の脅威  ⽣産要素/製品市場の交渉⼒に関わる要因  価格競争の発⽣可能性が⾼い産業の特徴  4.供給業者(売⼿)の交渉⼒ a) 企業間の競争の軸が価格に陥りやすい  5.顧客(買⼿)の交渉⼒ b) 供給過剰に陥りやすい(供給構造の問題) 11 12 1.既存企業間の対抗度︓ 1.既存企業間の対抗度︓ 既存企業間の対抗度を左右する主な要因 (a-1) 産業集中度 (↓)  価格競争の発⽣可能性を⾼める産業の構造的特徴  「競争の激しさ」と「産業集中度」の関係  a) 企業間の競争の軸が価格に陥りやすい  産業集中度が低いほど、価格競争を仕掛けようとする企業 1. 産業集中度が低い(企業数と規模の分布) が出てきやすい 2. 差別化の困難性が⾼い(=コモディティ化) 3. スイッチングコストが低い  無数の規模の⼩さい会社 4. 当該産業の戦略的な価値が⾼い 低い 激しい  寡占状態︓数社 5. 企業間のバックグラウンドの多様性が⾼い  企業間で規模が拮抗  b) 供給構造に影響を及ぼす要因 産業 競争 1. 産業成⻑率が低い  企業間で規模に格差 集中度 の激しさ 2. ⽣産能⼒の拡⼤が⼩刻みに⾏えない(最⼩最適規模が⼤きい) 3. 固定費・在庫費⽤が⾼い  独占状態︓1社のみ 高い 緩やか 4. 退出障壁が⾼い 13 14 産業集中度の尺度 (1)︓上位N社集中度 産業の集中度の尺度(2)  上位1社集中度 デジタルカメラ産業の世界シェア ハーフィンダル・ハーシュマン・インデックス  上位3社集中度 (2015年︓出荷台数ベース) 「⽇経業界地図2017年版」⽇本経済新聞出版社  上位5社集中度 etc (ハーフィンダル指数) 順位 企業名 シェア 1 キヤノン 31.0 Rm = Σαi 2 3 ニコン ソニー 25.0 17.0 HHI=Σαi2 *αi: i社のシェア 4 サムスン電子 5.0 5 富士フイルム 4.0 *αi: i社のシェア その他 18.0 集中度が⾼い産業ほど 上位1社集中度=31.0 この講義では、「『その他』のシェアは計算しない」算出方法を採用 上位3社集中度=73.0 価格競争に陥りにくい 上位5社集中度=82.0 15 16 ハーフィンダル指数の実例 HHIを利⽤する際の注意点 太陽電池産業と⾃動⾞産業の産業集中度 太陽電池 産業 自動車 トリナ・ソーラー(中) 8.9% 1位 トヨタ自動(日) 11.2%  計算上の注意点 ジンコ・ソーラー(中) 7.0% 2位 GM(米) 11.1%  定義上、0<HII≦1の値をとる カナディアン・S(加) 6.8% 3位 VW(独) 10.9%  その他の企業の扱い⽅ JAソーラー(中) 5.7% 4位 ルノー日産 9.1% ハンファQセルズ(韓) 4.5% 5位 現代自動(韓) 8.6%  解釈上の注意点(重要) その他 その他 67.1% 49.1%  この指標値の評価に絶対的基準はない。 0.022719 HHI 0.052423  価格競争に陥りやすいかを判断する基準のひとつ。 計算式 2 2 2 2 2  →これだけで判断するのは危険 HHIs= (0.089)  ( 0. 070 )  ( 0. 068 )  ( 0. 057 )  ( 0. 045 )  (道具に「使われ」ないように!!) 2 2 2 2 2 HHIa= (0.112)  ( 0. 111 )  ( 0. 109 )  ( 0. 091 )  ( 0. 086 )  HHIが相対的に⾼いのは、⾃動⾞ 産業であることから、  他の要因を無視してあえて⾔うならば、  太陽電池産業の⽅が、競争が激しくなりやすい。 17 18 1.既存企業間の対抗度︓ 差別化の次元 (a-2) 差別化の困難性↑ 製品内の属性 製品外の属性  顧客は、製品の差別性を認識できない場合、価格を選択 基準に⽤いる ・納期 ・機能 ・規格 客観的属性 ・品質 - スイッチングコスト ・デザイン - ネットワーク外部性 ・アフターサービス  この場合、企業にとって、顧客に⾃社の製品を選択させ ・イメージ ・企業イメージ る唯⼀の選択肢は「価格を下げる」こと。 主観的属性 ・ブランド ・企業ブランド  企業は、ライバルよりも価格を下げようとする強い動機  差別化が可能な場合︓価格競争の回避が可能 を有する  差別化が可能な場合︓価格が唯⼀の訴求点 / 評価軸とな り、価格競争が⽣じやすくなる (= コモディティ化)。 19 20 1.既存企業間の対抗度︓ 1.既存企業間の対抗度︓ (a-3) スイッチング・コスト↓ (a-4) 当該産業の戦略的価値↑  スイッチング・コスト  当該産業 (事業) で⾼いシェア (競争優位) を確⽴するこ  利⽤している製品・サービスを変更する際に、顧客が被る とが、⾃社の保有する他の事業にとって、重要な意味を 費⽤ 持つ場合。  製品Aから製品Bに変える際に発⽣する様々な費⽤  ⾦銭的な費⽤だけではない。  当該事業の利益を度外視した低価格戦略が採⽤されやす くなる。  電⼦機器メーカーにとってのDRAM事業  スイッチング・コストを⾼める⽅策  家電メーカーにとっての液晶テレビ事業  ポイントカードの導⼊︓航空機産業のマイレージ  ネットワーク化︓アップルのi-cloud, i-calender, apple watch  スーパーのもやし売り場のような存在 21 22 1.既存企業間の対抗度︓ 1.既存企業間の対抗度︓ (a-5) 企業バックグラウンドの多様性↑ (b-1) 産業成⻑率↓  類似したバックグラウンド (経験) を持つ企業間では、  産業成⻑率が低いほど、価格競争が起こりやすくなる。 戦略観や価値観 (=産業レシピ︓industry recipes) が類  売上を上昇させる/維持するために、価格を低下させようと 似していく。 する動機が企業に⽣じる。  市場の成⻑期︓新規顧客の開拓  そうした企業間では、「価格競争の回避」という⽬的が  市場の成熟・衰退期︓ 値下げによる既存顧客の奪い合い 暗黙的に共有されやすい。  e.g. 携帯電話の通信量  異なるバックグラウンドを持つ企業の参⼊により価格競争 が激化した例  ソフトバンクの参⼊を契機としたキャリア間の価格競争  ちなみにこの要因は (a-2) 差別化の困難性=コモディ  〜2006年 DoComo・AU・Vodafone(J-phone) ティ化ともリンクしている。  2006年〜 ソフトバンク︓携帯電話事業へ参⼊  楽天の参⼊を契機としたキャリア間の価格競争 23 24 1.既存企業間の対抗度︓ 1.既存企業間の対抗度︓ (b-2) 最⼩最適規模↑ (b-3) 固定費・在庫費⽤↑ 需要量  固定費 量 供給過多 =製品やサービスの⽣産・販売量に関わらず発⽣する費⽤ 供給量  固定費が⾼い場合、販売数が多いほど単位あたり費⽤が低下  たくさん販売(そのために値下げ)しようとする動機が⾼まる  1時間 100個のパンを焼く窯 2400万円  12時間稼働 1200個 1個あたり2万円  24時間稼働 2400個 1個あたり1万円 時間  在庫費⽤  産業や技術の特徴により、「規模の経済性」が最⼤限に発揮される 規模 (最⼩効率規模︓minimal efficient scale) は異なる。 =在庫を⼀定期間保有することによって発⽣する費⽤  より早く売り切ろうとする(そのために値下げする)動機が⾼まる  保管することで⽣じる費⽤ (e.g. 閉店セール)  最⼩効率規模が⼤きい産業では、⽣産能⼒の拡⼤が⼩刻みに⾏えず、 供給過多の状況が⽣じやすい。  製品の陳腐化によって⽣じる費⽤(e.g. 服・⽣鮮⾷品のセール) 25 26 1.既存企業間の対抗度︓ 2.新規参⼊の脅威 (b-4)退出障壁↑  退出障壁 (=当該産業から撤退できない理由) が⾼まる  参⼊障壁 (entry barrier) ほど、価格競争が持続しやすくなる。 (a)当該産業に参⼊ができない  事業の売却が困難 (b)既存企業と⽐較して不利な条件でしか 当該産業に参⼊できない  ⽣産設備・⼈員が他の企業・産業に転⽤できない  特定の企業・産業に専⾨化(特異的資源)  いずれかの条件が存在すると、価格競争が相対的に激化 しにくく、当該産業からの利益移転を防ぎやすくなる  利益が出なくても、製品の製造・販売を継続しなければ ならなくなる。  (a)と (b) は、それぞれ、価格競争が起きにくい産業の 特徴 = 占有価値を⾼める要因  結果として価格競争が持続・激化してしまう。 27 28 2.新規参⼊の脅威 参⼊障壁を⾼める要因 ① 政府の規制や法律↓  (a) 当該産業への参⼊を不可能にする要因  規制が存在してきた主な産業  運輸産業(航空、鉄道、バス、貨物)  ① 政府の規制や法律  ⾦融産業(銀⾏、保険、証券)  (b) 新規参⼊企業を劣位にする要因  放送産業  ② 流通チャネルへのアクセスが困難  公益産業(電気、ガス)  ③ ネットワーク外部性が強く働く  資格に関わる産業(弁護⼠、会計⼠、税理⼠等)  電気通信産業  ④ スイッチング・コストが⾼い  医療産業(病院)  ⑤ 製品差別化の程度が⾼い  教育産業(幼稚園〜⼤学・⼤学院) など  ⑥ 投下資本が⼤きい  ⑦ 規模の経済が働く  ⑧ 規模と関係のないコスト劣位 29 30 2.新規参⼊の脅威 2.新規参⼊の脅威 ① 政府の規制や法律︓知的所有権 ② 流通チャネルへのアクセスの難易度↓  特許︓ある企業(⼈)が開発した技術について、他企業  流通チャネルが既存企業で占められている場合、新規参 (⼈)が利⽤することを⼀定期間禁じる法制度 ⼊企業はそれに割り込む必要がある。  フリー・ライダー問題  シェルフスペースや流通網の問題  e.g. コピー機  1959年、Xeroxが製品化 以降独占  1969年 Canonが製品化  流通チャネルの確保が困難であるほど、それにかかる費  絶対的な防御にはならない。逆の場合も。 ⽤分劣位にたたされる。  リベート  その他にも、著作権や商標など 31 32 2.新規参⼊の脅威 2.新規参⼊の脅威 ③ ネットワーク外部性↓ ④ スイッチング・コスト↓  利⽤者が増えれば増えるほどその財やサービスから得られる  利⽤する製品をA製品からB製品に変更する場合に、⽣ 価値が増すこと。 じる費⽤  SNSアプリ  利⽤している製品に特化した投資が⾏なわれている (サン  OS (ios, android, windows) クコストが発⽣している) 場合  Office  フリマサイト  ネットワーク外部性が働く場合  既存製品から新製品に変更することが顧客にとって費⽤  新規参⼊企業は、参⼊時点で利⽤者 (インストールベース) を となる場合、その費⽤分を補うだけの、値引きや価値の 獲得していない 提供をしなければ、新規参⼊企業の新製品は売れない。  そのため、既存企業の財やサービスを上回る価値を補償しな  e.g. マッキントッシュでWindowsが使える ければ、利⽤者を獲得できない。その分、コスト劣位にたた される。  e.g. 携帯電話のナンバー・ポータビリティ制度  ヤフーフリマ︓⼿数料ゼロ 33 34 2.新規参⼊の脅威 2.新規参⼊の脅威 ⑤ 製品差別化の程度が⾼い↓ ⑥ 投下資本の⼤きさ↓  製品差別化が可能 = 競争を左右する場合、  事業を開始するのに必要な資⾦が⼤きいほど、参⼊は困  製品差別化を可能にする要因の有無が重要な意味を持つ。 難になる。  製品差別化を可能にする要因は、その獲得にコストや時  資本が集まらないと、参⼊はできない。 間がかかる。  機能や品質 ← 経営資源  資本を集めるには、資本コストがかかる。  ブランドや信頼性 ← 歴史 (時間)  資本コスト︓資⾦調達に伴うコスト  e.g. 利息⽀払い・配当⽀払 etc.  差別化を可能とする要因について、新規参⼊企業は既存  投下資本が⼤きいほど、安易な参⼊は難しくなる。 企業に劣り、その分競争劣位に陥る傾向にある。  事業経験や歴史 (時間) に関する劣位 35 36 2.新規参⼊の脅威 2.新規参⼊の脅威 ⑦ 規模の経済↓ ⑧ 規模とは独⽴したコスト劣位↓  規模の経済が強く効く産業の場合、参⼊は2つの意味で困難  経験曲線効果が強く働く場合、累積⽣産量で劣る分、コ になる。 スト劣位にたたされる。  規模でライバルに追いつくまでの期間、当該事業はコスト劣位に ⽴たされ、採算が⾒込めない。  必要資源 (⽴地・原材料・技術/特許) を先取されている 場合、それを補う分、コスト劣位に⽴たされる。  e.g. ニュートラスイート (⼈⼯⽢味料) を先取したペプシ  ライバルに追いついたところで、供給量の増加によって、財の価 格が低下する可能性が⾼く、採算が⾒込めない。 37 38 3.代替品の脅威 代替製品の考察で重要な点  ① 技術⾰新(イノベーション)の影響︓  代替性が⾼い財 (代替品) が存在すれば、代替品との競  技術⾰新により代替品が登場することで、従来からある産業 争によって、財の価格が低下する (顧客への利益移転が の占有価値が急激に低下することがある。 ⽣じる) 可能性がある。  場合によっては、産業が衰退・消滅する場合さえある。  代替品︓  ② 代替製品の可視性  代替製品は常にわかりやすいかたちで存在するとは限らない。 = 同じ顧客ニーズを満たす財  「製品が提供する本質的な機能」が⾒えにくいことがしばし = 同じ機能を提供する財 ばある。 39 40 4&5. 供給業者および顧客の交渉⼒ 交渉⼒を構成する要素  供給業者の交渉⼒と顧客の交渉⼒は基本的には同じ構造  顕在化する交渉⼒(説得⼒︓persuasiveness)  供給業者 (売⼿) の交渉⼒=⾃社 (買⼿) との相対的な交渉⼒  顧客 (買⼿) の交渉⼒=⾃社 (売⼿) との相対的な交渉⼒ =潜在的な交渉⼒の基盤(potency)  =取引における価格決定権を売⼿と買⼿のどちらが握るか︖ ×交渉⼒を活⽤しようとする意志(credibility)  供給業者や顧客が「交渉⼒ (bargaining power)」を有すると、産  潜在的な交渉⼒の基盤 業の占有価値 (事業活動によって⽣み出された収益) は移転し、収 益性は悪化する  ⾃分の要求に従うことが魅⼒的であると相⼿に信じさせる  約束・脅迫・提案 消費者 付 加 かき氷  交渉⼒を活⽤しようとする意志 価値 価 屋  ⾃分の要求を是が⾮でも通そうとしていると相⼿に信じさせる 売上 支払 値 氷屋  コミットメント 売上 支払 支払 氷屋 かき氷屋 消費者 41 42 産業の占有価値を巡る外部との戦い 4.供給業者の交渉⼒ =価格交渉 = 売⼿の交渉⼒を左右する要因  顕在化した交渉⼒に関して、売⼿/買⼿のどちらが強い  供給業者(売⼿)の潜在的な交渉⼒の基盤を⾼める要因 かによって、商品・サービスの取引価格は左右される。  ① 供給業者(売⼿)の所属する産業の産業集中度↑  売⼿は、価格を上げたい  ② 供給業者(売⼿)が供給する財の差別性↑ (買⼿に多く⽀払わせ、⾃分の取り分を増やしたい)  ③ 供給業者(売⼿)が供給する財に対する代替品の種類/数↓  買⼿は、価格を下げたい  ④ 供給業者(売⼿)にとって当該産業(買⼿)の重要性↓ (売⼿への⽀払いを抑え、⾃分の取り分を増やしたい)  ⑤ 当該産業(買⼿側)のスイッチング・コスト↑  ⑥ 供給業者(売⼿)が垂直統合する可能性↑  この2側⾯で企業は競争している  供給業者(売⼿) vs 当該産業の企業(買⼿)  供給業者(売⼿)の交渉⼒を利⽤する意志を⾼める要因  ① 供給業者(売⼿)の売上のうち当該産業への売上が占める割合↑  当該産業の企業(売⼿)vs 顧客(買⼿)  ② 供給業者(売⼿)の利益⽔準↓  ③ 供給業者(売⼿)の財が当該産業(買⼿)の製品の質に及ぼす影響↑ 43 44 5.顧客の交渉⼒ 戦略的資材調達 = 買⼿の交渉⼒を左右する要因  顧客(買⼿)の潜在的な交渉⼒の基盤を⾼める要因 供給業者 集中購買  ① 顧客(買⼿)の所属する産業の産業集中度↑ 自社A  ② 供給業者(売⼿)が供給する財の差別性↓  ③ 供給業者(売⼿)が供給する財に対する代替品の種類/数↑ 自社B  ④ 顧客(買⼿)にとって当該産業(売⼿)の重要性↓  ⑤ 顧客(買⼿)のスイッチング・コスト↓ 自社C  ⑥ 顧客(買⼿)が垂直統合する可能性↑  ①と④に変化を及ぼし、交渉⼒が強化される  顧客(買⼿)の交渉⼒を利⽤する意志を⾼める要因  ①産業集中度が仮想的に上昇  ① 顧客(買⼿)のコストに占める当該産業(売⼿)の売上の割合↑  ④⼤量買い取りや他の部品購⼊等の条件とも合わせることによっ て、この取引(買⼿)の重要性を⾼める。 ② 顧客(買⼿)の利益⽔準↓   交渉⼒を強化することは、企業合併が⾏われる理由のひとつ  ③ 当該産業(売⼿)の財が顧客(買⼿)の製品の質に及ぼす影響↑ でもある。 45 46 産業の占有価値(魅⼒/利益ポテンシャル) に影響を 産業構造分析の⽤途 及ぼす5種類の脅威とその要因  1. 産業内の対抗度↑  4.供給業者の脅威↑  産業集中度↓  供給業者の集中度↑  △ 儲かる産業を探す  差別化の困難性↑  供給業者の製品の差別性↑  スイッチングコスト↓  供給業者の製品に対する代替品の有無↓  ○ 採るべき⼿=戦略を構築する  戦略的価値↑  供給業者にとって当該産業の重要性↓  バックグラウンドの多様性↑  当該産業にとってスイッチングコスト↑  ① 現状を変える⽅法を考える  産業成⻑率↓  供給業者による垂直統合の可能性↑  ⽣産能⼒の拡⼤の規模↑  供給業者の売上に占める当該産業の割合↑  収益性に影響を与えている要因(原因)を特定する  固定費・在庫費⽤↑  供給業者の利益⽔準↓  退出障壁↑  供給業者の製品が当該産業の製品の質に及ぼす影響↑  ② 将来⽣じるであろう変化の可能性を探るため  2.新規参⼊の脅威↑  5.買い⼿の脅威↑  それらの要因が将来どのように変化するのか  政府の規制や法律↓  買い⼿の集中度↑  規模の経済性の効果↓  買い⼿が認識する当該産業の製品の差別性↓  その変化は⾃社の収益性にどのような変化をもたらすのか  差別化の程度↓  当該産業の製品に対する代替品の有無↑  投下資本の規模↓  買い⼿にとって当該産業の重要性↓  スイッチングコスト↓  買い⼿にとってスイッチングコスト↓  ネットワーク外部性↓  買い⼿による垂直統合の可能性↑  流通チャネルへのアクセス可能性  買い⼿のコストに占める当該産業の製品の割合↑ ↑  買い⼿の利益⽔準↓  規模以外のコスト劣位↓  当該産業の製品が買い⼿の製品の質に及ぼす影響↓  「マニュアル」的に項⽬を羅列しても、有効な分析には 3.代替品の脅威  つながらない 47 48 産業の占有価値(魅⼒/利益ポテンシャル) に影響を 及ぼす5種類の脅威とその要因  1. 産業内の対抗度↑  4.供給業者の脅威↑  産業集中度↓  供給業者の集中度↑  差別化の困難性↑  供給業者の製品の差別性↑  スイッチングコスト↓  供給業者の製品に対する代替品の有無↓  戦略的価値↑  供給業者にとって当該産業の重要性↓  バックグラウンドの多様性↑  当該産業にとってスイッチングコスト↑  産業成⻑率↓  供給業者による垂直統合の可能性↑  ⽣産能⼒の拡⼤の規模↑  供給業者の売上に占める当該産業の割合↑  固定費・在庫費⽤↑  供給業者の利益⽔準↓  退出障壁↑  供給業者の製品が当該産業の製品の質に及ぼす影響↑  2.新規参⼊の脅威↑  5.買い⼿の脅威↑  政府の規制や法律↓  買い⼿の集中度↑  規模の経済性の効果↓  買い⼿が認識する当該産業の製品の差別性↓  差別化の程度↓  当該産業の製品に対する代替品の有無↑  投下資本の規模↓  買い⼿にとって当該産業の重要性↓  スイッチングコスト↓  買い⼿にとってスイッチングコスト↓  ネットワーク外部性↓  買い⼿による垂直統合の可能性↑  流通チャネルへのアクセス可能性  買い⼿のコストに占める当該産業の製品の割合↑ ↑  買い⼿の利益⽔準↓  規模以外のコスト劣位↓  当該産業の製品が買い⼿の製品の質に及ぼす影響↓  3.代替品の脅威 47 産業構造分析の⽤途︓①現状分析 産業構造分析の⽤途︓②変動の可能性を探る 産業・企業の収益性とボトルネック 対抗度 新規 代替品 供給 顧客  現在の産業構造は将来も保証されるわけではない 参入 業者 このケースでは供 給業者の交渉⼒が ボトルネック  産業構造から⾼収益がもたらされていた産業も、将来収 益性が低下する可能性がある  他の脅威/要因が強くなくても、ある特定の脅威/要因によっ て利益の移転が⼤規模に⽣じれば、収益性は⼤幅に悪化する。  ボトルネックとなっている脅威/要因を特定し、それを変える 余地・⽅法があるかを検討する。 49 50 今回のまとめ ポジショニング・アプローチの基本姿勢  ステイクホルダーは、作ったものを買ってくれたり(顧客)、作る のに必要なもの(供給業者)を売ってくれたりするのだけれど、  ⾃社の事業活動(=価値の創造)において不可⽋な存在  価値の創造に関して協⼒関係にある。  彼らは、付加価値(産業の占有価値) を奪う、競争相⼿でもある。  外部主体によって付加価値が奪われにくい産業で事業活動を⾏うこ と、もしくは、彼らから⾃分の取り分を守る施策 = 事業戦略  そのための分析枠組=産業構造分析(5-forces)  既存企業間の対抗度  新規参⼊の脅威  代替品の脅威  供給業者の交渉⼒  顧客の交渉⼒ 51

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