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このドキュメントは、生命科学入門の第7回講義資料です。ビタミン、ミネラル、細胞の構造と機能、原核生物と真核生物の違い、細胞膜、ミトコンドリア、葉緑体、細胞壁などについて説明しています。

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2024/11/13 ⽣命科学⼊⾨ 第7回 前回のまとめ <ビタミンとは> 代謝が正常に機能するために必要な微量物質 ヒトの⽣体内で合成できないため、摂取しなければならない有機化合物の総称 ⽔溶性ビタミン ビタミンB群やビタミンCが挙げられる 特にビタミンB群は糖の代謝に必要な酵素の補酵素として働く 脂溶性ビ...

2024/11/13 ⽣命科学⼊⾨ 第7回 前回のまとめ <ビタミンとは> 代謝が正常に機能するために必要な微量物質 ヒトの⽣体内で合成できないため、摂取しなければならない有機化合物の総称 ⽔溶性ビタミン ビタミンB群やビタミンCが挙げられる 特にビタミンB群は糖の代謝に必要な酵素の補酵素として働く 脂溶性ビタミン 光受容(A)、⾻の形成(D)、⾎液凝固(K) など特有の機能を持つ <ミネラルとは> ⽣体を構成する主要な元素 O, C, H, N 以外の⽣体必須元素 メジャーミネラル カルシウムやマグネシウムが挙げられる 特にMg2+は糖の代謝など、多くの酵素の補助因⼦として働く マイナーミネラル 鉄や亜鉛が挙げられる 特にFe2+はヘムの構成因⼦でヘモグロビンの酸素運搬に必須 1 2024/11/13 細胞の構造と機能 最初に復習課題に⽬を通す 細胞を発⾒したのは誰? ロバート・フック(1635 ‒ 1703) コルク樫の樹⽪の細胞壁を観察 → ⼩部屋に分かれていることを発⾒ “Cell” (細胞)と名付けた(1665) *フックは物理学者で「フックの法則」を提唱 ⾃作の顕微鏡の性能とコルクの弾⼒を調べていた ロバート・ブラウン(植物学者)→ 細胞核を発⾒ マティアス・シュライデン(植物学者)→ 細胞説(植物) テオドール・シュワン(動物学者)→ 細胞説(動物) すべての細胞は既存の細胞の成⻑と分裂によって⽣まれてくる 2 2024/11/13 原核⽣物と真核⽣物 原核⽣物 真核⽣物 ⼤腸菌 ゾウリムシ 上⽪細胞 ブドウ球菌 神経細胞 ⽟ねぎ 真核⽣物の細胞のつくり 動物細胞 植物細胞 細胞膜 細胞核 細胞壁 ミトコンドリア 葉緑体 動物細胞と植物細胞の⽐較(下線部は細胞⼩器官) 動物細胞・植物細胞共通 → 細胞膜、細胞核、ミトコンドリア 植物細胞のみ → 細胞壁、葉緑体 3 2024/11/13 細胞膜はリン脂質⼆重膜からできている ミセル 細胞膜 リポソーム ⼆重膜 親⽔性 疎⽔性 リン脂質⼆重膜 親⽔性の頭部を外側に向けることで⽔中でも安定になる 細胞核の構造 核膜孔 核膜 核膜(リン脂質⼆重層)に覆われている 物質を輸送するための核膜孔を持つ DNAが詰め込まれている DNA (クロマチン) 核内のDNAは細胞分裂時に 染⾊体と呼ばれる構造体を形成する (ヒトの染⾊体は23組 46本) 4 2024/11/13 DNAは細胞核にコンパクトに詰め込まれている 城⻄⼤ー都庁 40 km ヒトのDNA全⻑は 2 m → 細胞核の直径 5 ‒ 8 μm 細胞 染⾊体 ヒストン 細胞核 クロマチン DNA ミトコンドリアの構造と機能 外膜 内膜 膜間腔 マトリックス ミトコンドリアDNA 電⼦伝達系 & ATP合成酵素 内膜が細かく折り畳まれて ATP合成の場を広げている(クリステ) マトリックス 膜間腔 ミトコンドリアの機能 ・ATPを合成する(細胞の発電所) ・アポトーシス(細胞死)の司令塔 Essential cell biology ・細胞の⽼化にも⼤きな影響を与える 5 2024/11/13 ミトコンドリアと⽼化 若 ⽼ 若い細胞ではミトコンドリアの機能が正常 ⽼化細胞ではミトコンドリアが分裂して機能低下 MITOL あり なし ミトコンドリア外膜に存在するMITOLの活性化 ミトコンドリア分裂と機能の低下抑制 マウスの⽪膚 マイトルビンでMITOL活性化 → ⽼化抑制!! マイトルビン あり なし マウスの⽪膚 植物の細胞 〜細胞壁と葉緑体〜 細胞壁 セルロースの構造(第2回) 葉緑体 葉緑体は光合成を⾏う 光エネルギーを利⽤して 糖 チラコイド膜で⽔を分解 →ATP, NADPH, O2 を⽣産 ATPとNADPHを消費して ⼆酸化炭素から糖を⽣産 Essential cell biology 6 2024/11/13 原核⽣物と真核⽣物の違い 原核⽣物 真核⽣物 DNAがむき出し 細胞核を持つ 呼吸鎖は細胞膜 細胞⼩器官 呼吸鎖はミトコンドリア内膜 原核⽣物は地球上の細胞の中で最も多様で数が多い 原核⽣物 >>> 真核⽣物 原核⽣物は増殖(分裂)速度が⽐較的早い 枯草菌や⼤腸菌は20分で1回分裂する 進化のスピードが速い 抗⽣物質に耐性を持つ菌の出現 原核⽣物はバクテリア(細菌)とアーキアに分けられる ⾒た⽬や⼤きさはバクテリアとアーキアは良く似ている バクテリア 進化の観点で⾒るとアーキアは真核⽣物に近い アーキア Essential cell biology 極限環境でも⽣きられるアーキア 120℃で増殖 pH 0.7で増殖 海⽔の10倍濃度 5 M NaCl で増殖 120 MPa で増殖 など Methanopyrus kandleri Picrophilus oshimae 7 2024/11/13 真核細胞より原核細胞の⽅が⼩さいのはなぜ? Ans. 原核⽣物はミトコンドリアを持っていないから ミトコンドリアは数百個/cell 4 μm 50 μm ⼤腸菌 上⽪細胞 呼吸鎖は細胞膜 呼吸鎖はミトコンドリア内膜 原核⽣物は主に細胞膜で ATPを合成する 細胞の直径 → ⼤腸菌:上⽪細胞 = 1 : 10 細胞の体積 → ⼤腸菌:上⽪細胞 = 1 : 1000 ミトコンドリア無しで細胞サイズを⼤きくするとATP不⾜になる ミトコンドリアと葉緑体は別の⽣き物だった リケッチア属細菌 *リケッチアより古い α-プロテオバクテリア ミトコンドリア という説もあり シアノバクテリア 葉緑体 Essential cell biology 8 2024/11/13 Conclusion 細胞の構造 脂質⼆重層の細胞膜で覆われている 遺伝情報が保存されているDNAを持つ 真核⽣物の細胞 細胞核やミトコンドリアなどの細胞⼩器官を持つ 細胞核は核膜で覆われ、DNAはクロマチン構造により核に詰め込まれる ミトコンドリアはATPの合成⼯場であり、内膜は細かく折り畳まれている 植物細胞は細胞壁に覆われ、葉緑体による光合成を⾏う 原核⽣物の細胞 細胞核を持たず、DNAはむき出しの状態で存在する ミトコンドリアのような細胞⼩器官を持たず、呼吸鎖は細胞膜に存在 原核⽣物はバクテリア(細菌)とアーキアに分けられる 9

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