古文 助動詞の接続

古文の助動詞は、活用して様々な語に接続することで意味を加える。

• どの活用形の語に接続するかは、助動詞ごとに決まっている。
• 助動詞の接続を理解することは、古文読解において非常に重要である。

主な助動詞の接続

• 「ず」：未然形に接続。
  • 意味：打消し。
  • 例：「行かず」（行かない）。
• 「る/らる」：未然形に接続。
  • 「る」：自発・可能・受身を表す。
    • 例：（自発）思われる、（可能）見られる、（受身）ほめられる。
  • 「らる」：尊敬の意味も持つ。
    • 例：仰せらる。
• 「す/さす」：未然形に接続。
  • 意味：使役・尊敬。
    • 例：（使役）行かせる、（尊敬）読ませ給う。
• 「しむ」：未然形に接続。
  • 意味：使役・（可能）・（尊敬）。
    • 例：行かしむ。
• 「じ」：未然形に接続。
  • 意味：打消推量・打消意志。
    • 例：見じ（見ないだろう、見ないつもりだ）。
• 「む/らむ/けむ」：未然形に接続。
  • 意味：推量・意志・勧誘・仮定・婉曲など。
    • 例：行かむ（行くだろう、行こう）。
• 「まし」：未然形に接続。
  • 意味：反実仮想・ためらい・不可能・希望など。
    • 例：行かまし（もし行ったら、行きたい）。
• 「まほし」：未然形に接続。
  • 意味：願望。
    • 例：見た見まほし（見たい）。
• 「たり」：体言、または連体形に接続。
  • 意味：完了・存続。
    • 例：来たり（来た）、雪降りたり（雪が降っている）。
• 「けり」：連用形に接続。
  • 意味：過去の詠嘆・伝聞。
    • 例：行きけり（行ったなあ）。
• 「き」：連用形に接続。
  • 意味：過去。
    • 例：書きき。
• 「つ」：連用形に接続。
  • 意味：完了・強意・並列など。
    • 例：来つ（来てしまった）、泣きつ笑いつ（泣いたり笑ったり）。
• 「ぬ」：連用形に接続。
  • 意味：完了・打消。
    • 例：死なぬ。
• 「り」：サ変動詞の未然形、四段活用動詞の已然形に接続。
  • 意味：存続・完了。
    • 例：（存続）侍り、（完了）降りり。
• 「らし」：終止形に接続（ラ変の場合は連体形）。
  • 意味：推定。
    • 例：降るらし（降るらしい）。
• 「めり」：終止形に接続（ラ変の場合は連体形）。
  • 意味：推定（視覚に基づく）。
    • 例：降るめり（降っているようだ）。
• 「なり」：終止形に接続（ラ変の場合は連体形）、または体言、連体形に接続。
  • 意味：推定（伝聞・状態）。
    • 例：降るなり（降るそうだ）、昔なり（昔だ）。
• 「まじ」：終止形に接続。
  • 意味：打消推量・打消意志、禁止・不可能・当然など。
    • 例：降るまじ（降らないだろう、降るはずがない）。
• 「べし」：終止形に接続。
  • 意味：推量・意志・当然・命令・可能・適当など。
    • 例：行くべし（行くべきだ、行くに違いない）。
• 「らむ」：終止形に接続（ラ変の場合は連体形）。
  • 意味：現在推量・伝聞・婉曲など。
    • 例：咲くらむ。
• 「めり」：終止形に接続（ラ変の場合は連体形）。
  • 意味：婉曲・比喩・例示など。
    • 例：桜の咲める。
• 「ごとし」：連体形、体言に接続。
  • 意味：比況・例示。
    • 例：雪のごとし。

接続の注意点

• 助動詞の中には、接続する語の活用形が特殊なものがある。
  • 例：「たり」は体言または連体形、「り」はサ変動詞の未然形または四段活用動詞の已然形。
• 助動詞の意味によって、接続する語の活用形が異なる場合がある。
  • 例：「なり」は伝聞・推定の場合は終止形（ラ変は連体形）に接続するが、断定の場合は体言または連体形に接続する。
• 助動詞の接続を正確に理解するためには、様々な古文の例文に触れることが重要。
• 多くの古文に触れ、助動詞の使われ方を体得することが、読解力向上につながる。