生命科学入門第10回 PDF

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生命科学入門第10回の講義資料は、DNAの構造、複製、転写、翻訳といった生化学の基本的な内容について説明しています。図や表を用いて、詳細に解説されており、生命科学を学ぶ学生にとって、良い参考資料になります。

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2024/12/4 ⽣命科学⼊⾨ 第10回 前回のまとめ DNAの構造 ヌクレオチドが構成単位で、塩基はA, T, G, C の4種類 ヌクレオチドはホスホジエステル結合により連結(重合)する ⽔素結合による塩基対によって⼆本鎖を形成する(⼆重らせん構造) 塩基対はA-T, G-C の組合せで形成される DNAには⽅向性があり、⼆本...

2024/12/4 ⽣命科学⼊⾨ 第10回 前回のまとめ DNAの構造 ヌクレオチドが構成単位で、塩基はA, T, G, C の4種類 ヌクレオチドはホスホジエステル結合により連結(重合)する ⽔素結合による塩基対によって⼆本鎖を形成する(⼆重らせん構造) 塩基対はA-T, G-C の組合せで形成される DNAには⽅向性があり、⼆本鎖は逆向きに対合している RNAよりもDNAの⽅が安定である DNAの複製 1本鎖DNAを鋳型としてA-T, G-Cの塩基対が形成されるように複製される →半保存的複製 DNAは5ʼ→3ʼの⽅向に複製され、その反応はDNAポリメラーゼが触媒する ⼆本鎖DNAが開いてDNA合成が⾏われる構造を複製フォークと呼ぶ リーディング鎖は連続的に、ラギング鎖は断続的に複製される DNAポリメラーゼには校正機能が備わっている 1 2024/12/4 DNAの構造まとめ ⼆重らせん構造 5ʼ 5ʼ ヌクレオチド 3ʼ 5ʼ ⽔素結合 3ʼ 3ʼ Essential Cell Biology A-T G-C の組合せで⽔素結合による塩基対が形成される DNAの複製まとめ 鋳型の配列を元に A-T G-Cで塩基対を作るルールを守って複製 → 半保存的複製 複製の⽅向は5ʼ→3ʼ DNAポリメラーゼの校正機能 2 2024/12/4 DNAの配列変化(変異)はタンパク質機能に影響する 例)トリプトファン合成酵素の配列変化 5’-CCTGTACTTAGAAAAGATTTTATTATTGATTCTCTTCAAGTAGAGGAA-3’ P V L R K D F I I D S L Q V E E このイソロイシンの⽋失でトリプトファンが作れなくなる 5’-CCTGTACTTAGAAAAGATTTTATT___GATTCTCTTCAAGTAGAGGAA-3’ P V L R K D F I _ D S L Q V E E トリプトファンあり トリプトファンなし 野⽣株 変異株 野⽣株 変異株 遺伝⼦からタンパク質へ 3 2024/12/4 遺伝⼦からタンパク質が作られるまでの流れ 遺伝⼦ → タンパク質の設計図 遺伝⼦ DNA DNAやRNAの並びを 配列と呼ぶ 転写 mRNA 翻訳 DNA(RNA)3⽂字で 1つのアミノ酸を ペプチド 指定する(コドン) (アミノ酸) タンパク質 遺伝⼦(DNA) → mRNA → タンパク質 の流れをセントラルドグマと⾔う 実際の遺伝⼦を含むDNAの配列(バクテリア) プロモーター 遺伝⼦ ターミネーター 4 2024/12/4 転写:DNAの情報をRNAに写し取る チミン(T) 遺伝⼦ 鋳型鎖 DNA コード鎖 転写 ウラシル(U) mRNA コード鎖と同じ配列になる (T と U の違いを含む) DNAの情報は RNAポリメラーゼによって転写される 転写の⽅向もDNAと同じく5ʼ → 3ʼ RNAポリメラーゼ 転写:DNAの情報をRNAに写し取る(バクテリア) ① RNAポリメラーゼとσ因⼦の複合体がプロモーター配列を認識する ② DNAの⼆本鎖が部分的に解かれ、転写が始まる ③ σ因⼦が遊離して5ʼ→3ʼの⽅向で 転写が進⾏する ④ ターミネーター配列によって RNAポリメラーゼがDNAより解離して 転写が終結する 5 2024/12/4 DNAから直接タンパク質を作らない理由(転写の意義) ⼀つの遺伝⼦から複数のmRNAを転写できる → ⼀度に多くのタンパク質を合成できる → 合成するタンパク質の量を調節できる 必要なときに、必要なタンパク質を、必要な量だけ作ることができる 転写調節の例(ラクトースオペロン) ラクトースを分解する酵素 → ラクトースがあって、グルコースが無いときだけ必要 *オペロン→まとめて転写される 遺伝⼦の⼀群 転写を阻害する ラクトースがあると外れる 転写を促進する グルコースが無いと結合 転写を促進 or 阻害する タンパク質を転写因⼦と呼ぶ 6 2024/12/4 実際の遺伝⼦を含むDNAの配列(バクテリア) プロモーター CAP LacI リプレッサー 遺伝⼦ ターミネーター mRNAの情報からどのようにタンパク質を作るのか? ? RNA アミノ酸 mRNA 翻訳 RNA3⽂字で ペプチド 1つのアミノ酸を (アミノ酸) 指定する(コドン) タンパク質 タンパク質20種 / 塩基4種 → 4 x 4 x 4(コドン)= 64 種 7 2024/12/4 コドン表の⾒⽅ コドンとアミノ酸をつなぐtRNA tRNA (transfer-RNA) アミノ酸 アンチコドン アミノアシルtRNA合成酵素 コドン アミノ酸 コドンに結合するアンチコドンを持つ アンチコドン アミノアシルtRNAがアミノ酸をつなげる 8 2024/12/4 アミノ酸の連結はリボソームで⾏われる タンパク質 リボソーム → タンパク質の合成装置 ⼤⼩2つのサブユニットから成る rRNA rRNA (Ribosomal RNA)の⾻格に タンパク質が結合して構成される tRNAが結合する部位 タンパク質合成(翻訳) 開始 → 伸⻑ → 終結 翻訳伸⻑:コドンーアンチコドン対合を元にアミノ酸を連結させていく A : Aminoacyl-tRNA P : Peptidyl-tRNA E : Exit 20 cycle / sec 9 2024/12/4 タンパク質合成(翻訳) 開始 → 伸⻑ → 終結 翻訳開始:⼩サブユニットが開始コドンを⾒つけて翻訳を開始する → 翻訳開始因⼦が必要 正しい位置から翻訳を始める重要性 5’ C C U A U G A U C C U G A A G G A G U A C 3’ M I C K E Y 5’ C C U A U G A U C C U G A A G G A G U A C 3’ Y D P E G V 5’ C C U A U G A U C C U G A A G G A G U A C 3’ L Stop mRNA上のリボソーム結合位置 <原核⽣物> リボソーム結合配列(SD配列) 5ʼ AGGAGG AUG 3ʼ 5ʼ-UTR 翻訳配列 10 2024/12/4 タンパク質合成(翻訳) 開始 → 伸⻑ → 終結 翻訳終結:⼩サブユニットが開始コドンを⾒つけて翻訳を開始する 抗⽣物質の多くはバクテリアの翻訳を阻害する クロラムフェニコール テトラサイクリン ヒトや動物に感染した細菌の増殖を抑える(殺す) 菌類や細菌が⽣存競争に勝つために⽣み出した化合物 細菌同⼠のコミュニケーションツール 抗⽣物質 ! バイオフィルム形成 11 2024/12/4 Conclusion 遺伝⼦ タンパク質の設計図となるDNAの配列 DNAからmRNAが転写され、mRNAからタンパク質へと翻訳される 流れをセントラルドグマと⾔う 転写 RNAは5ʼ→3ʼの⽅向に転写され、コード鎖DNAと同じ配列(TはU)のRNA が合成される RNAポリメラーゼがプロモーター配列に結合することで転写が開始され、 ターミネーター配列に到達すると転写が終結する 転写は転写因⼦によって調節される 翻訳 mRNA3⽂字(コドン)で1つのアミノ酸を指定する mRNAのコドンとtRNAのアンチコドンの対合によりアミノ酸が連結する 翻訳(タンパク質合成)はリボソームによって⾏われる スタートコドンから翻訳が始まり、ストップコドンで翻訳が終結する 12

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