日本の女子刑務所の実情

女子刑務所の現状

• 全国の女子受刑者はおよそ3700人。
• 高齢化が急速に進んでいる。
• 出所後すぐに再犯して戻る受刑者も後を絶たない。
• 平均刑期は3年。
• 犯罪の内訳は窃盗と覚醒剤がほぼ8割を占める。
• 殺人罪の受刑者も1割近くいる。
• 最高齢の受刑者は94歳 (取材中に出所したが2ヶ月後に再入所)。

刑務所内の生活

• 独居房と集団室に分かれる。
• 部屋に鍵はなく、通路は自由に移動可能 (ただし死角は現金)。
• トイレや洗面台は共同。
• 入浴は夏冬ともに週3回、20分が目安（男性刑務所より5分長い）。
• 1日30分の運動時間はほとんど自由時間になる。
• 点呼は人数を迅速に把握するためで逃走防止の意味合いがある。
• 爪切りは運動場で行う (自殺防止のため部屋に刃物類は一切ない)。
• 男性の刑務官は女子受刑者との不要なトラブルを避けるため、ウェアラブルカメラを装着。
• 刑務作業で受刑者が手にする報奨金は月に平均3000円程度。

受刑者の特徴

• 学力不足の受刑者もいる (家庭の事情でほとんど学校に通えなかった受刑者もいる)。
• 刑務所から出す手紙に漢字が増えたことを子供に褒められたと話す受刑者もいる。
• 化粧をすると人相が変わるため、メイク道具（口紅など）は一切許可されない。
• 面会時間はおよそ30分 (遠隔地から子供連れで訪れる家族もいる)。

刑務所内の医療

• 20年間岩国刑務所に勤務する医師の専門は婦人科。
• 刑務所の中では認知症が進まない傾向がある (頭を使う、毎日動く、食堂に行って人と刺激を受けるため)。

食事

• 受刑者の食事は複数の幹部が検食する。
• コロナ禍にはコンビニ弁当が調達された。
• 当初は好評だったが、1週間ほどで刑務所の食事が食べたいという声が多くなった。

刑務所の墓地

• 高齢受刑者は極と隣り合わせ。
• 家族が遺体の引き取りを拒否するケースも少なくない。

受刑者の背景

• DVが原因で同居していた男性を殺害した受刑者がいた (コロナ禍で海外への出国が叶わなかった)。
• コロナで仕事を失い、ネットの闇バイトに手を染めた留学生もいた。

刑務所内の情報管理

• 手紙の検閲は厳しい。
• 雑誌類も薬物や自殺に関する部分は削除される。
• 薬物の快楽性や入手先などの具体的な情報が書かれたものは削除対象になる。

美容

• 2ヶ月に1回美容師が来る。
• カットにも細かい規則があり、完全に自由とは言えない。
• 染められない。

年末年始

• 女子刑務所では食事は全員揃って食堂で取る。
• 年越しそばはカップ麺。
• 大晦日だけは普段の消灯時刻の9時を過ぎても0時までテレビを見られる。
• 正月には日頃食べられないお菓子が配られる。
• 年賀状が来ると喜ぶ受刑者もいるが、社会との距離を感じさせる。

生命犯と無期懲役囚

• 生命犯たちは朝晩手を合わせる (自分の間違った選択で家族の絆を壊してしまったと思っている)。
• 岩国刑務所にはおよそ10人の無期懲役 (死刑を免れた) の女性受刑者がいる。
• 無期懲役囚たちは世間を震撼させた事件を起こしている。
• 死刑囚だったAは獄中に飛び込んでくる死刑執行のニュースに敏感。
• Bは服役3年、仮釈放の審査が開始される時には90歳を超える。
• Bの共犯は死刑判決後すでに獄死している。
• 2人の被害者を出した事件を起こしたCは、一審は死刑判決だったが二審で無期懲役に減刑された (共犯が二十歳になったばかりだったことから裁判官が躊躇したとも言われる)。
• Cは家族が自分の存在そのものを消さざるを得なかったと語る。
• 逮捕から30数年が経った今、刑罰よりも無期懲役囚として生き続けることの方が辛いと語る。

まとめ

• 全国の女子受刑者はおよそ3700人。
• このうちおよそ90人が無期懲役囚。
• 短い刑期の受刑者が次々に出所していく一方で、死刑を免れた女たちの出口の見えない日々が続く。